Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.35
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2007  35
Journal Club
他者への負担感 : 終末期に焦点をあてた系統的レビュー
聖隷三方原病院医療相談室
名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学  赤澤輝和
Feeling like a burden to others: a systematic review focusing on the end of life.
McPherson CJ, et al. Palliative Medicine 21: 115-128, 2007

【背景】
 病気による負担に関する研究は、家族介護者が重点的に取り扱われており、ケアを受ける側の‘他者の負担になること’についてはあまり注目されていなかった。しかしながら、近年、他者へ負担になっているという懸念は、死が近い人々において共通で困難な問題であることを示唆する根拠が増えている。この懸念は‘自身が感じる負担’(self-perceived burden)と言われている。
【目的】
 本研究の目的は、終末期における‘自身が感じる負担’に関して系統的レビューを行うことである。
【方法】
 NHS Centre for Reviews and Disseminationに基づきレビューを行った。電子検索に関しては、CINAHL、PsycInfo、Ageline、Medlineを用い、ハンドサーチによる関連論文の収集も行った。
【結果】
 本研究から‘自身が感じる負担’は、終末期患者の19-65%において重要な問題であることが明らかになり、関連要因として尊厳の喪失、苦悩、悪い死が示された。また、‘自身が感じる負担’については、生命を脅かす疾患を有する患者の希死念慮、終末期ケアの場所の選択、事前指示、治療の受容などの臨床決断との関連も示唆された。
【考察】
 進行した疾患を有する患者およびその家族が直面する特有の課題に対し、未研究の領域であり、さらなる検討が必要である。
【コメント】
 我が国の終末期患者においても‘自身が感じる負担’は高頻度で出現する苦悩であることが報告されている。患者の視点からは終末期のQOLにおける重要な要因であることが示されている一方、医療者にとってはその重要性が認識されにくいことが示唆されている。しかしながら、これまでに負担感に対するケアの実証研究は国際的にみても皆無に等しい。そのため、緩和ケアの質の向上のためには、負担感を緩和する方策を系統的に研究していく必要があり、その上で本研究は極めて重要な知見になると考える。

Close