Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.35
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2007  35
Current Insight
スピリチュアルケア教育ツールとしてのSP-CSS講習会に参加して
聖路加国際病院緩和ケア科  山川 宣
 スピリチュアルケアは緩和ケアの中核の一つであるが、その専門的理解には人生観、死生観、心理学、宗教、哲学など、幅広い知識必要で、一 般的な医療関係者が広く習得する機会は乏しい。よって理解しやすい概念や教育手法の確立が求められている。
 村田久行らが構築したスピリチュアルペインに関する理論(以下村田 理論)と、スピリチュアルケアカンファレンスサマリーシート(SP-CSS)の講習会に参加する機会に恵まれたので感想を述べたい。
 村田理論は人間存在を時間性、関係性、自律性で支えられると捉え、スピリチュアルペインの多彩な訴えをこれらの3要素の障害で説明する。SC-CSSは、会話録からスピリチュアルペインの訴えを抽出し、この3要素の分類、評価し、その評価を元にケアの指針を立てるものである。
 SP-CSSは、1)会話録を通してスピリチュアルペインに対する感度を高め、自身のコミュニケーションを客観視する 2)系統的な記録により評価やケアが多職種で行いやすい等の利点がある。
 実際に演習をしてみると、一つの訴えに対しても多様な評価が出てくるため、多職種での関わりが必須であること、そのためにチーム全体での理解が望ましいことが容易に感じられる。
 一方、欠点としては会話録の作成および評価に時間がかかることが挙げられる。緩和ケア病棟でも病棟業務量は増大傾向であり、一般病棟も含めた日常診療で、実践できる人員や時間を確保することは困難な場面も多いだろう。この点は今後の改善事項と思われる。
 多様で複雑なスピリチュアルペインを理解する上で、平易な共通言語としての村田理論、系統的なトレーニングツールともなり得るSP-CSS は、スピリチュアルペインに接する医療従事者として経験するメリットは大きいと思われる。
(講習会を主宰するスピリチュアルケア研究会の連絡先はnpospiritualcare@ybb.ne.jp)

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