Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.34
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2007  34
学会印象記
第47回日本肺癌学会総会
国立がんセンター中央病院  木俣有美子

 国立がんセンター中央病院 麻酔・緩和ケア科レジデントの木俣と申します。以前は一般内科医として勤務しておりましたが、当院のレジデントとなり約2年が過ぎました。腫瘍内科、精神腫瘍科などでのローテートを終了し、昨年の秋より麻酔・緩和ケア科の研修を始めております。先日、日本肺癌学会に参加させていただいたので、その様子・印象についてご報告いたします。
 2006年12月14-15日、和田洋巳会長のもと、「自分が患者になったときー自ら受けたい治療の創造」をメインテーマとして第47回日本肺癌学会総会が、国立京都国際会館において開催された。従来の診断法・治療法の現状と質的向上を目指した検討、新たな診断法・治療法の開発と有用性の検討、肺癌の発生、診断、治療に関わる基礎的な研究の発表とその意義の検討ついて発表、討議などが行なわれた。緩和ケアに関するものとしては1つのシンポジウムと、実際に使用されている処方など今後の実践に役立つ内容の2回のランチョンセミナー、またポスター発表と口演は1日目に開催されたがこれは発表数が少なかったことが残念であった。
 2日目の午前中にシンポジウム(6)「緩和ケアについてー基礎その他」が第2会場において、人見滋樹・川瀬一郎両座長のもと開催された。まず聖隷三方原病院緩和支持治療科の森田先生より「聖隷三方原病院における腫瘍治療と緩和治療の共同作業」、次にさくさべ坂通り診療所の大岩先生より「在宅緩和医療・ケア−現状と問題点―」、近畿大学医学部外科学教室附属病院緩和ケア室の原先生より「癌治療における緩和医療に求められているものー大学病院の看護師からのアンケート調査からー」、大阪大学大学院薬学系研究科の岡本先生より「緩和医療における薬剤の副作用―薬剤師の視点と役割―」、さくらいクリニックの桜井先生より「住み慣れた家で死ぬということ〜ホームホスピスケアの現場から〜」、静岡がんセンター緩和医療科の田中先生より「癌患者の呼吸困難のマネジメント」、高槻赤十字病院緩和ケア科の岡田先生より「終末期肺癌患者の緩和医療 呼吸困難緩和のための鎮静の検討と課題」、大阪大学大学院人間科学研究科の恒藤先生より「緩和医療の課題」、そして尼崎厚生会立花病院ホスピス長の藤川先生より「ホスピス病棟における肺がん患者の緩和ケアの現状」についての発表があった。肺癌で出現しやすい呼吸器症状、また在宅医療についてスポットを当てていることが印象的であった。
 この9人のシンポジストからの発表の後に、岡山赤十字病院呼吸器内科の渡辺先生より特別提言が行なわれた。その中に「緩和医療の専門化と並行して急性期病院との温度差の解消が必要」との言葉があり、一定のレベル以上の緩和医療が急性期病院を含む全ての病院で行なわれていくために、これから緩和ケア医は何ができるのかと思いをはせた。今後も日本肺癌学会の中で緩和ケアに関するシンポジウムを継続して開催したい、との座長からの言葉でシンポジウムは閉幕した。
 シンポジウムの内容はどれも興味深かったが、他に開催されていたシンポジウムより活発な議論が少ない印象であったことが残念であった。緩和医療もがん治療の一部であるという認識が浸透し、今後さらに活発な緩和医療についてのシンポジウムがこの学会で開かれていくことを期待したいと思っている。

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