Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.34
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2007  34
Journal Club
進行乳がん患者のサポート・情報ニーズを満たすこと:無作為化比較試験
名古屋市立大学看護学部  樅野香苗
Meeting the support and information needs of women with advanced breast cancer: a randomised controlled trial.
Aranda S, Schofield P, Weih L, et al. Br J Cancer, 95(6):667-73, 2006.

【背景】
 多くの心理社会的介入が、がん患者のアウトカムを改善すると報告されてきた。しかしながら、今までの介入は、臨床に適用することが難しく、患者のニーズを考慮したものではなかった。
【目的】
 進行乳がん患者のニーズに着目した、看護師による介入の有効性について検討した。介入の目標は、情報を提供したり、症状を管理するためのセルフケアを促したり、適切なサポートを紹介することによって、患者の心配を緩和することである。
【方法】
 都市部に在住する172人の女性のうち105人が参加に同意した。女性は通常のケアか介入のどちらかに無作為に割り付けられた。介入群は、訓練された看護師による約1時間の面接を受け、Supportive Care Needs Survey (SCNS)の結果に沿って心配事を緩和するための戦略について話し合った。その1週間後、電話によるフォローアップで面接内容の確認や戦略の修正等を行った。アウトカムはEuropean Organization of Research and Treatment of Quality of life Q-C30 version2.0 (EORTC Q-C30)とSCNSであり、ベースラインと介入後1ヶ月、3ヶ月に記入された。
【結果】
 研究を終了したのは60人であり両群に差はなかった。SCNSとEORTC Q-C30の下位尺度については両群に有意な差は見られなかった。しかしながら、ベースラインのSCNSに基づいて、各群をニーズの高い群とニーズの低い群に分けると、ベースラインでニーズの高い群については、介入群の方が対照群よりも心理的・情緒的なニーズが有意に低下した。
【考察】
 この研究は、看護師による面接と電話によるフォローアップが、ニーズの高い進行乳がん患者の心理的・情緒的ニーズを有意に低下させることを明らかにしたが、QOLやその他のニーズ、心理的・情緒的ニーズの低いグループへの影響は明らかではなかった。フォローアップの時期等の改善が必要かもしれない。
【コメント】
 オーストラリアの研究グループによる一連のがん患者のニーズ研究の論文である。近年、実際の臨床に適用可能なbrief therapyの有効性を検証する論文が増えてきている。この論文で報告されている介入の構成要素は、患者のニーズアセスメントと問題解決のためのセルフケアの促進が主要なものであり、提供者である看護師に求められる能力はかなり高いと思われるが、外来の患者ケアを考えるうえで興味深い論文である。

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