Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.33
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2006  33
シンポジウム2
緩和医療に用いる薬の副作用
シンポジスト : 大阪大学  岡本 禎晃
広島大学病院  佐伯 俊成
聖路加国際病院  高橋美賀子
国立がんセンター中央病院  下山直人
座長 : 北里大学  的場元弘
淀川キリスト教病院  田村恵子
 緩和医療における症状緩和でその中心となるのが薬物療法であるが、QOLを低下させる副作用が発現しやすいため、使用する薬物の特徴をよく理解した上での症状マネジメントが重要となる。本シンポジウムでは、まず、岡本禎光先生が緩和ケアチームの薬剤師の立場から、発現頻度の高い症状とその症状緩和に用いられる薬剤の副作用とその対処についての概説を行った。次に、佐伯俊成先生が、精神腫瘍医の立場から、「向精神薬は疾患を治すまでの効果はなく、自然治癒力の援助に用いる」と確認した上で、向精神薬の主な副作用について概説された。そのなかで、抗うつ薬による自殺行動、薬剤性パーキーソン症候群への注意が必要であることを強調された。続いて、戸谷美紀氏は、看護師の立場から、薬剤による副作用は多くの場合患者のQOLを低下させるため、看護師は患者のQOLの観点から症状をモニタリングしケアを行っていくことが大切であることを述べた。最後に、下山直人先生は、医師の立場から、オピオイドの使用の広まりとそれに伴う副作用対策ついて概説された。また、根本的な便秘対策に末梢性オピオイド受容体拮抗薬が試みられていることなども報告された。シンポジストの発表後、30分間、フロアとのディスカッションを行った。質問は多岐にわたっており、臨床で薬剤の副作用に難渋している様子が窺えた。特に、精神症状であるせん妄に対する薬剤投与に関する質問が複数あり、精神症状の診断、治療、副作用対策がどの施設でもキーポイントになっているようであった。薬剤の副作用をいかにマネジメントするかという非常に身近でかつ重要な話題を話し合うことができて、私自身も共に学ぶことができた。特に、治験を含めた最新の情報を非常にわかりやすく説明してくださったので、緩和医療のエキスパート以外の方にも十分に役立つ内容であったと思われる。
(報告 : 淀川キリスト教病院 田村恵子)

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