Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.32
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2006  32
施設訪問記
日鋼記念病院 カレス・マーク ホスピス訪問記
千葉県がんセンター整形外科  安部能成
 
 夏のベストシーズンに北海道へ出かける機会があり、かねてより希望していた室蘭のホスピスを見学する機会を得たので報告させて頂きたい。
 1999年10月に12床で発足した当緩和ケア病棟は、2001年11月の緩和ケア病棟落成と共に22床に増え、今日に至っている。建物は、山を切り開いた地形を最大限に活用すべくコンペによって選ばれた企業が設計、施行したもので随所に工夫がみられた。3層構造の建物は、ガラス張りのエントランスから上に伸びている。一つ上がると共用部分があり、多目的ホール(写真1)から家族のための部屋、スタッフルーム、厨房などが並ぶ。さらに上がったフロアが利用者の居室で2床ある特別室以外は特別料金がかからない全個室である。ナース室に伺うと、一人として白衣を着ておられない(写真2)。この辺りにも、生活を重視した姿勢を感じ取ることができた。スタッフルームでは、電子カルテの入力に、医師と看護師の2人が働いている姿に羨ましさを感じた。また、風呂は一般的な浴室と特殊浴室があり、両者とも大変利用率が高く、日本人の風呂好きを再確認できた、と伺った。特殊浴室は窓から室蘭の町を見下ろしながらの入浴が可能である(写真3)。この他に宗教を含む多目的に使用可能な光の広間などがある。また、ロビーには渡り鳥の中継地で有名は室蘭の土地柄か、双眼鏡が置いてあった。風光明媚な景色であっても、人は静止画面には耐え切れず、風にそよぐ枝や飛ぶ鳥を見ている、という画家の言葉を思い起こした。また、病室の出入り口はフラットになっており(写真4)、ベッドごと簡単に外に出られる。
 母体である日鋼記念病院が総合病院であることを活かし、当ホスピスのチームアプローチは広範である。ホスピスのスタッッフとして、専従医師1名、兼任医師1名、看護師17名、兼任MSW1名、クラーク1名、助手3名、音楽療法士1名(ボランティア5名)が配置される他、栄養士、薬剤師、臨床心理士、特にターミナル・リハビリテーションとしての理学療法士・作業療法士にまで及んでいた。
 御説明くださった柴田先生のお話で興味深かったことは、人口10万人の室蘭市を含む西胆振地区医療圏24万人に2つのホスピスがあって合計40床になり、人口比では全国平均よりも恵まれたホスピス病床数、という観点であった。決してホスピスを孤立したものと考えておられない。社会的苦痛の重要性を認識されてのことと理解できた。
 お忙しい時間を割いてくださった柴田岳三先生はじめ、制服のモデルを引き受けてくださったナースの皆さん、御協力に感謝いたしますとともに、この場を借りまして御礼申し上げます。
文献)柴田岳三、「社会的苦痛」の重み、ターミナルケア、Vol.14, No.1, Jan., 2004

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