Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.32
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2006  32
学会印象記
「第39回日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会」に参加して
千葉県がんセンター整形外科  安部能成
 
 2006年7月6日、旭川医科大学の松野丈夫教授を会長に「Jaffe's triangleの原点に戻って―画像診断・病理診断と外科的治療のCooperation―」を基調テーマとして、札幌市の札幌コンベンションセンターで第39回日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会が開催された。本学会は、整形外科学会の中でも、がんの一種であるSarcomaと呼ばれる骨・軟部腫瘍に特化した、癌治療に関連の深い学会である。
 「Jaffe's triangleの形成に必要なことー骨・軟部腫瘍診断・治療との35年のかかわりからー」と題した会長講演を皮切りに、7つの特別講演、5つのシンポジウム、4つのパネルディスカッション、2つのEnglish Session、9つのテーマ演題の口述発表、8つの一般演題(口演45演題)があり、これとは別に16のカテゴリーに分かれて192演題のポスター発表があった。最近、各種の学会で散見されるポスターセッションの扱いに関しては学ぶべき点が多かった。神戸の緩和医療学会と同等のスペースが確保されていた他、参加者が各々ベスト5を投票して優秀演題を表彰する工夫、ポスターを2日間貼っておいて2日目の昼にランチョン・デスカッションを90分間設定するなどが目を引いた。
 緩和医療に関連して、2日目にはシンポジウム5「悪性腫瘍を扱う整形外科医のための緩和ケア―骨・軟部腫瘍学会からの提言―」があった。本学会では初めて整形外科と緩和医療との関わりを取り上げたものである。6名のシンポジストから発表の後、総合討論が行われた。長崎大学大学院麻酔科の金出先生から「骨転移と関連痛」、旭川医科大学整形外科の阿部先生から「骨・軟部腫瘍における緩和ケアーアンケート調査結果をもとにー」、山梨大学付属病院緩和チームの飯嶋先生から「診断時から緩和ケアチームが併診を行った軟骨肉腫の1症例」、札幌南青洲病院緩和ケア科の田巻先生から「ホスピスへの紹介:いつ、どうやって、何のために」、広島大学病院総合診療科の佐伯先生から「進行癌患者の家族への対応」、聖路加国際病院小児科の小澤先生から「悪性疾患患者児に対する病状の説明とその後のサポート―子供たちはどのように受け止めていくのか―」が、発表された。
 学術集会の第2会場に設定された初めての試みに、約200名の参加者を得たばかりか、2時間という設定時間が短く感じられ、緩和医療学会の会員である筆者にも嬉しい気持ちを抱かせるものとなった。中でも、整形外科医、かつ、緩和ケアチームのリーダーである旭川医科大学の阿部先生からは、1. 早期からの対応、2. 呼吸苦への対応、3. 骨転移への対応、という元疾患の主治医であり得る整形外科医向けの提言がなされた。
 このような企画を実行に移された松野学会長の見識に敬意を表すると共に、次回2007年7月の第40回山梨大会でも緩和医療に関連した企画が持たれ、緩和医療学会としても注目すべき動きのあることをお知らせしてペンを擱きたい。

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