Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.32
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2006  32
ランチョンセミナー5
クリニカルパスがん性疼痛治療の標準化
演者 : NTT東日本病院緩和ケア科部長  堀 夏樹
座長・報告 : 埼玉医科大学客員教授  武田文和
 がんの痛みの鎮痛薬治療法には国際基準があり、WHOが5項目の基本原則にまとめている。これを無視すると除痛成績は向上しない。5つの基本原則とは、経口的に、除痛ラダーにしたがって効力の順に、個別的な適切量で、時刻を守って規則正しく、そのうえで細かい配慮、である。
 がんの痛み治療は、まず夜間の良眠の確保、次いで安静時の痛みの消失、さらに体動時痛の消失と段階的な治療目標に向かって進められるが、実際には安静時の痛みの消失が得られていない場合さえあり、基本原則をきちんと守らないためであり、背景には痛みの強さの過小評価、オピオイド鎮痛薬使用開始や増量のためらいがある。加えて、副作用対策不足、患者との意思の疎通不足もある。
 これらを解決し、適切かつ迅速な痛み治療の実施を支援するツールとして堀夏樹医師が簡便なクリニカルパスを開発し、安静時の痛みの消失を短期間で実現させている。クリニカルパスは痛み治療チームの全メンバーが活用できるので、チーム内の共通認識を促す。堀医師はクリニカルパスをスクリーン上で操作し、オキシコンチン_錠を処方しながら、その使用法と有用性を解説した。
 痛みの強さは夜間の睡眠や安静時の鎮痛の程度などで表し、主治医、看護師、薬剤師など治療チームのメンバーは、患者との人間的ふれあいを重視しつつ痛みの状況等について患者が実感しているところを十分に聞き出し、痛みの強さの感じ方に影響している因子も把握し、必要な事項を入力する。それに応じたクリニカルパスの指示にしたがうと、一般病棟で働く医師も、がんの痛みの治療に必要な臨床所見を漏らさすことなく把握することになり、患者の個別性に応じた鎮痛薬投与が実践でき、患者の痛みの除去、そのQOLの改善、ひいては痛み治療の費用対効果比の向上、入院期間の短縮まで実現する。

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