Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.32
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2006  32
教育講演2
予後予測について考える
演者 : 筑波大学大学院臨床医学系消化器内科  兵頭一之介
座長・報告 : 大阪大学  恒藤 暁
 患者、家族、医療従事者のdecision-makingの際に重要となる予後予測について、筑波大学大学院臨床医学系消化器内科教授の兵頭一之介先生から講演がなされた。これまでに、MaltoniらのPalliative Prognostic Score(J Pain Symptom Manage 1999;17(4):240-7)やMoritaらのPalliative Prognostic Index(Support Care Cancer 1999;7(3):128-33)などの予後予測スコアが開発されている。厚生労働省研究班で予後予測の多施設共同研究を行ったところ、主治医の予後予測、意識状態、胸水、白血球数、リンパ球%の5項目からなるJ-POS-PIが作成された。J-POS-PIによって、生存期間中央値が51、29、11日の3群のリスクグループに判別できた。さらにこれを検証するためにtest sample208例(生存期間中央値27日)を集積し再現性を確認した。Palliative Prognostic Scoreは日本人のsampleにもよく適合し、Palliative Prognostic Indexは短期予測については適用可能であった。J-POS-PIにより、大まかに予後1週、4週、8週の患者を選別できたが、いわゆる月単位での予後予測は困難であった。
 質疑応答ではコルチコステロイドによる血球数への影響、癌種別の予後予測スコアの可能性、主治医の経験年数と予後予測との相関、J-POS-PIの予後予測できる時期、輸液による影響などについて質問があった。コルチステロイドによる影響はなかったこと、J-POS-PIの因子は多くの癌に共通するものであり癌種別に検討しても大きな差は出ないであろうこと、医師の経験年数が長いほど予後予測は実際とずれていたこと、予後2週の時期が最も正確に判別できたこと、輸液量による有意差は認めなかったことが兵頭先生から回答された。
 現在の予後予測スコアは主治医の臨床的予後予測が最も重要な因子であり、客観的な因子のみで正確に予後を予測することが困難であることが確認された。予後予測の際には一人の医師で判断するのではなく、看護師を含めたチームで検討していくことが重要であると思われた。

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