Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.31
May 2006

日本緩和医療学会 ニューズレター第31号

巻頭言
日本緩和医療学会理事長  江口研二
 今年も桜前線はすでに東北地方にまで進んでいますが、今の時期、寒暖そして、晴天降雨を繰り返すことにより、少し前には、枯れ木と土ばかりであったところが、色とりどりの花と目に鮮やかな新緑でおおわれてきていることに気がつきます。TVの天気予報やニュースのなかで、「あいにくの雨」「お天気は崩れます」などというような言葉が定番になっていますが、草木にとっては「恵みの雨」「命の雨」であるわけで、本当に我々は身勝手な生き物だと思います。
 さて、日本緩和医療学会の電子ジャーナル創刊号でもお知らせいたしましたが、会員数が増加の一途をたどっている本学会が、今後どのように進むべきか、改めて、その方向性を会員すべての方々に考えていただきたいと思います。
 がん緩和医療を巡っては、昨年のNHKのTV特集番組などで大きく取り上げられてから、診療現場では、緩和医療や緩和ケアチームに関する一般の方々からの問い合わせなどが、今まで以上に大変増えてきています。また、介護保険ががん患者にも適用されるようになって、在宅緩和医療の体制整備が大きくクローズアップされてきています。このような情勢の中で、本学会理事会は、日本緩和医療学会としてまず会員の方々に会員であることのメリットを実感していただけるような運営を基本方針としています。その一環として、学会としてがん緩和医療の教育カリキュラムの作成、それに基づく教育企画の充実化、緩和医療における各種テーマ毎のガイドライン作成、ニューズレターの充実と電子ジャーナルの創刊などの事業を行ってきました。ご承知のように、鎮静のガイドラインに続いて、輸液、呼吸困難などのガイドラインが、当該委員会の努力によって近日中に完成します。がん疼痛ガイドラインの改訂版も作業中です。電子ジャーナルの刊行は、学会員にとって、学術大会以外に、自分たちの研究成果を公表し議論する場となり、よりレベルの高い緩和医療学を進める有力な手段となります。これには、編集委員会の驚異的ながんばりが下支えとなっていることも認識していただきたいと思います。
 このように、学会では、各種委員会機能が非常に活発になってきていますが、より、効率的で社会的にも認められた団体として発展していくために、現在最優先で取り組むべき課題がNPO法人化とがん緩和医療医の資格認定の問題です。前者については、すでに各種関連学会が、ほとんどNPO法人化されており、それらを参考にして、今年度中の申請を目指して理事会で作業中です。NPO法人化の実現により、社会的認知度のある団体として、その活動に弾みがつくことになります。6月の総会では、理事会の作成した定款案についてご審議をいただく予定ですので、よろしくお願い申し上げます。また、緩和医療の資格認定に関しては、NPO法人化以降の具体的な作業となりますが、前提として教育体制の整備が必須ですので、教育委員会の業務が非常に増えてきています。全国各地域のがん緩和医療の教育担当者を養成する目的で、昨年12月に開催したトレーナーズワークショップを今年も参加人数を絞って予定しています。また、学会員全体のための教育セミナーも作成されたカリキュラムをすべて消化するようなプログラムで今年度から新たに企画しています。
 日本緩和医療学会の今後の10年間を考えると、その発展は、学会員の方々の活躍にかかっています。是非、緩和医療の質の向上と普及のために、学会の総力を挙げて、活動していきたいと思います。一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。

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