Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.30
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2006  30
学会印象記
第12回国際QOL研究学会(International Society for Quality of Life Research: ISOQOL)に参加して
京都大学医学研究科医療疫学分野  鈴鴨よしみ
 2005年10月19日〜22日、サンフランシスコにて国際QOL研究学会(ISOQOL)が開催された。ISOQOLは、1991年に、健康・医療領域に関するQOL研究、特にアウトカム研究においてQOLをどのように活用し、方法論的な研究をどう進めるか、臨床研究や医療、政策研究への応用をどう進めるか、などを目的として設立され、今年で第12回を迎えた。学会員は、臨床系、計量心理学系、経済学系などの研究者や、臨床医、看護、リハビリ分野の臨床家、製薬企業の研究者などで構成されている。筆者は第6回大会より参加しているがこの7年間を鑑みると、QOLは医療のアウトカム評価指標の一つとして日本においても広く認知されるようになったと感じる。ISOQOLでは、当初QOLがいかに科学的に測定可能であるかに主要な論点がおかれていたのに対して、昨今は、臨床への応用や臨床的意味を問う論点にシフトしつつある。今回のテーマは「Building Bridges to Enhance Quality of Life」であり、より広い分野でQOLの意味を問う試みが行われていた。
 今学会で、東洋英和女学院大学大学院人間科学研究科博士課程の宮崎貴久子氏がNew Investigator Awardを獲得したことは、大きな喜びであった。氏は、「The General Public's Perception and Awareness of Quality of Life in Japan」という演題で、一般国民が“QOL”をどう認知しているかの全国調査結果を発表した。医療の専門家にとってQOLはなじみ深い言葉となったが、果たして一般の人々の受け止め方はどうか。医療の現場でQOLという言葉を使ってコミュニケーションする際に、同じイメージを頭に描いているのであろうか。宮崎氏が医療者側の視点から捉えられがちであったQOLの意味を改めて問い直したことが、評価されたと考える。緩和ケアは「生命を脅かすような疾患を持つ患者とその家族のQOLを高めるアプローチ」であると定義されている(WHO, 2002)。とすれば、緩和ケア研究においてアウトカム評価指標をQOLとすることに異論はないであろうが、ケア提供者側が行った評価ではなく患者自身が感じ報告するQOLであるかどうかを再度見直す必要があろう。また、臨床場面においてQOLというtermを使用する際に、患者と医療者側が同じイメージを抱いているとは限らないことに気を配ることが重要であると、改めて考えさせられた。
 来年の第13回大会は、ポルトガルにて開催される。詳細は、本学会ホームページ(www.isoqol.com)を参照されたい。

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