Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.30
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2006  30
Journal Club
在宅緩和ケアサービスを利用している患者の主介護者を対象とした心理教育的介入 : RCTによる効果の検討
東京大学大学院 医学系研究科 成人看護学/緩和ケア看護学分野  三條真紀子
Hudson PL, Aranda S, Hayman-White K.
A psycho-educational intervention for family caregivers of patients receiving palliative care : a randomized controlled trial.
J Pain Symptom Manage 2005; 30(4): 329-41.

【目的】進行がん患者の主介護者を対象とした心理教育的介入の効果を検討するためにRCTを行った。
【対象】メルボルンの在宅緩和ケアサービス(CPCS)を利用している患者の主介護者。
【方法】ベースラインデータを収集した介護者(N=106)を介入群(N=54)と対照群(N=52群)に無作為に割り付けた。介入には死に逝く患者の介護に関連する情報を記載したガイドブックと、介護者自身のセルフケアを促す内容のカセットテープを使用し、看護師が2回の訪問と、その間に1回の電話フォローアップを行った。対照群には、通常の在宅緩和ケアを提供した。介入後(割付から28日後)をTime2、患者の死亡の6週間後をTime3として質問紙を配布し、ベースラインを含めた3時点で縦断的に回答を収集した。
 質問紙では、「介護者役割についての心構え」「介護者としての能力」「介護肯定感(reward)」「不安と抑うつ」「自己効力感」の各々について尺度を用い、対象者の背景として、介護者の年齢や性別、介護による就業の制限、介護期間を尋ねた。
【結果】対象者の65%が女性で、平均年齢は61歳、患者との関係は67%が配偶者であった。ベースライン時点の患者のECOG PSは2が40%、3が48%、4が11%であった。3時点全てを回答した対象者が介入群で12名、対照群で15名と少なかったため、解析はTime1(ベースライン)とTime2(介入後)、Time1とTime3(死別後)に分けて行った。
 ベースラインと介入後の各得点を比較すると、時間の経過により両群共に「介護者役割についての心構え」が強まっていた。また、介入群では「介護肯定感(reward)」が若干強くなっていたが、対照群では弱まっていた。
 ベースラインと死別後の各得点を比較すると、時間の経過により両群共に「介護者としての能力」は強まり、「不安」は弱まっていた。また、介入群では「介護肯定感(reward)」が強まっていたが、対照群では若干弱まっていた。
【考察】在宅緩和ケアサービスを利用している患者の主介護者を対象とした看護師による心理教育的介入は、通常のケアと比較して、主介護者の「介護肯定感(reward)」に長期的な効果があった。また、介入群で、ネガティブな結果がみられなかったことから、これらの心理教育的介入が介護者に負荷を与えることなく実施できることが示された。
【コメント】終末期がん患者の家族支援介入に関するRCTにより、その効果と実施可能性が示されたことは今後の家族支援を考える上で重要である。わが国でも、家族がどのようなニードをもっているのかを明らかにしたうえで、家族支援プログラムを開発していくことが望まれるだろう。

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