Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.30
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2006  30
Journal Club
遺族の評価によるICUにおける望ましい死の達成
東京大学成人看護学/緩和ケア看護学  宮下 光令
Mularski RA. Heine CE. Osborne ML. Ganzini L. Curtis JR. Quality of dying in the ICU: ratings by family members. Chest 2005. 128(1): 280-7.

【目的】
 ICUにおける死の質(Quality of dying)とそれに関連する要因を探索する。
【方法】
 診療録を用いた後ろ向き研究とQuality of Dying and Death(QODD)調査票を用いた遺族へのインタビュー調査。対象は大学病院1施設、VA1施設に付属する4つのICUで死亡した38人の患者および96人の遺族。
【結果】
 全体的に遺族は症状のコントロールが不十分と評価した。ほぼ全ての時点で痛みがコントロールされていたと答えたのは47%、呼吸の安楽では3%であった。ICU QODDスコア(0-100)による全体の評価は60±15と中程度(moderate)のものであった。ICU QODDは痛みのコントロール(r=0.42, p=0.009)、起こりうる状態(what was going on around him)のコントロール(r=0.62, p<0.001)、穏やかに死を迎えた(r=0.68, p<0.001)、尊厳と自尊心が保たれていた(r=0.50, p<0.001)が関連していた。年齢、ICUの在室期間、家族が死に居合わせたか、重症度などは関連しなかった。
【結論】
 今後研究を進めICUにおける死の質の重要な予測因子を検討する必要はあるが、本研究はICUにおける終末期ケアが痛みのコントロールだけではなく、尊厳や尊重、穏やかに死を迎えるための援助などをも含むべきであることを示唆するものである。
【解説】
 QODDは著者らが開発した遺族用の「死の質(Quality of Dying)」を測定する評価尺度であり、今回はそれをICU向けに一部改変したICU QODDを用いている。論文中には、より詳細な遺族によるICUでの死亡経験が記述されている。近年同様の遺族調査が米国でいくつか行われている。わが国では緩和ケア病棟の遺族調査は行われているが、一般病棟やICU等では殆ど行われていない。また、わが国で既に開発されている調査票はケアの評価に関するもの(CES)のみである。

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