Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
Journal Club
スペシャリストの行う成人がん患者に対する緩和デイケアの系統的レビュー
聖路加国際病院 緩和ケア病棟  高橋美賀子
E.Davies, I.J. Higginson: Systematic review of specialist palliative day-care for adults with cancer, Support Care Cancer 13, 607-627,2005.

【要約】
 スペシャリストが行う緩和デイケアの構造とプロセスが、成人がん患者のアウトカムにどのように関係しているかについて、エビデンスとなる研究を系統的にレビューした。2003年12月までの医学、看護、社会科学のデータベースから、サービスの構造、ケアプロセスやアウトカムについて、症状コントロールとQOL、社会的・心理的サポート、患者と家族のケア満足度を含めて報告されている緩和デイケアの研究を検索した。質的と量的研究は方法論の質を査定して格付けを行い、結果については総合的に扱った。
 英国の11の研究と米国の1つの研究から得られた結果は次の通りである。サービスの評価の難しさ、衰弱している脆弱な対象を集めることの難しさを12の研究が見出していた。一般的にデイケアは週3−5日、英国国内で年間述べ11000箇所で開催されていた。ほとんどのサービスがナース主導であるが、職種やケアモデル(社会モデル・医学モデルなど)、活動、場所などは施設によって様々であった。最も多く見られたスタッフ構成は、ナース、医師、病院牧師、管理者、アロマセラピスト、美容師であった。看護活動で多く行われていたのは入浴、創傷ケア、排便ケアであった。
 参加している患者は、すでに(入院等で)緩和ケアを受けており、多くは白人の60歳以上の退職者で、情緒的、社会的サポートと痛みのコントロールに対するニーズがあるグループであると思われた。症状コントロールや健康に関連したQOLの改善に関するエビデンスを結論付けるには不十分であったが、すべての質的研究で、デイケアで提供している「社会的接触」や「様々な活動を行う機会」について、患者が高く評価していることが見出された。
 今後の研究では、デイケアへの参加方法や最も効果的なケアモデル、コスト、家族や介護者への潜在的な利益について明らかにしていく必要がある。高齢者と精神障害者へのケアモデルと比較することも有用な情報となるだろう。
【コメント】
 日本ではがん患者のサポートグループなどが増えてきているが、緩和デイケアの試みはほとんど行われていない。保険システムの違いなどから、どのような提供方法が可能であるかは検討が必要であるが、今後、在宅療養患者が増える中で緩和デイケアが行われるようになれば、患者のみならず介護者の負担軽減にもつながり有用なのではないだろうか。

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