Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
Current Insight
緩和ケアチームの診療した患者が
緩和ケア病棟転科前後に受けたケア・治療の変化
日本看護協会 看護教育研究センター  井村 千鶴
聖隷三方原病院 緩和支持治療科  森田 達也
Changes in medical and nursing care in cancer patients transferred a palliative care team to a palliative care unit
Tatsuya Morita, Chizuru Imura, Koji Fujimoto et al. Journal of Pain and Symptom Management 2005; 29:595-602.

【目的】
 緩和ケアチームの診療を受けた患者が、緩和ケア病棟に転科した前後でのケア・治療の
変化、ケア・治療の追加、修正が必要とされた理由を探索する。
【対象と方法】
 聖隷三方原病院において緩和ケアチームが2003年に診療したがん患者のうち、緩和ケア病棟に転科した患者50名を対象とした。
 緩和ケア病棟転科後48時間以内のケア・治療の変化、および、16項目の心理・社会的ケアに関するカルテレビューを行った。
 次に、緩和ケアチームと緩和ケア病棟のスタッフによるグループディスカッションを行い、ケア・治療の追加、修正が必要とされた理由を探索した。
【結果】
 有効症例数は、転科後48時間以内の死亡5名を除外した45名であった。緩和ケア病棟転科後に追加、修正された治療は患者1名あたり1.9±1.5個であった。追加、修正された主な治療内容は、輸液の減量、オピオイドのタイトレーション、オピオイド投与器材の変更、オピオイドローテーション、NSAIDSおよびステロイドの追加であった。
 追加、修正された看護ケアは、患者1名あたり1.5±1.3個であった。主たる内容は、入浴をケアに取り入れること、マットレスの変更、マッサージの施行、気管吸引の中止であった。
 緩和ケア病棟のスタッフは、新たに、患者のキーパーソン(38%)やキーパーソン以外の家族(16%)、本人(6.7%)と面談を行い、意思決定への支援を行っていた。
 心理・社会的ケアに関連するカルテレビューでは、転科後に、家族ケア、精神的・実存的ケアに関する記載が、有意に増加していた。
 ケア・治療の変化の主な理由は、1)問題が緩和ケアチームにより認識されていなかった(薬物療法)、2)介入対象としていなかった、推奨したが主治医により実施されなかった(輸液療法)、3)介入対象としていなかった(看護ケア)、4)介入対象としていなかった、問題が認識されていなかった(意思決定への支援)であった。
【結論】
 緩和ケアチームの診療した多くの患者が、緩和ケア病棟転科後に追加、修正されたケア・治療を受けていた。緩和ケアチームの効果を強化するためのストラテジーとして、1)認識されていない症状や意思決定に関わる問題を最小化するための介入構造の修正(例:標準化されたアセスメントツールの使用、定期的なカンファレンス)、2)輸液療法の有益性を明らかにする研究、3)看護ケア、意思決定への支援、家族ケア、精神的・実存的ケアの領域をより介入対象とすることが挙げられる。

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