Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
ポスターセッション III-I-06〜10
手術療法
司会・報告 : 相模台病院  大谷 剛正
 わたしのセッションは緩和医療でも、QOL 向上のための消化器外科関係の手術治療についてであった。
 第1席の名寄私立病院の西山先生は上部消化管狭窄を伴う切除不能癌に対し胃空腸吻合術を行い、良好な成績を得たが、食欲不振―悪疫質症候群により経口摂取が進まない患者もあるので、手術適応を含めた今後の課題であることを指摘した。第2席の東京女子医大の平井先生は消化器症状の緩和目的に人工肛門造設やバイパス手術を行い、臨床的効果を検討した。結果は概ね良好であったが、なかには在宅医療に移行できない症例もあり、これらの患者にはPEGやPTEGなども追加治療すべきであったと述べた。第3席の香川大学高島先生は胃空腸バイパス術に胃瘻造設も同時におこない、効果があった症例報告を行い、胃瘻造設は患者の食の楽しみに寄与する有効な手段であったことを強調された。第4席の中津胃腸病院の深野先生と岩本先生は、終末期消化器癌に対し積極的に外科手術を行い、絵画的な手術記録と良好な結果を発表され、外科が十分に緩和医療に寄与できることを強調した。第5席は帝京大学野澤先生がイレウスを呈した終末期がん患者に対する症状緩和を目的とした手術症例の発表を行い、症状緩和を目的とした手術はあくまで姑息的手術であり、患者や家族がその内容を十分理解する必要があると強調された。ただし比較的予後が見込まれる患者には積極的に手術療法もおこなうべきであるとのことであった。
 全発表をみると消化器症状を呈する終末期がん患者に対する外科手術は肯定的な意見が多くをしめた。また質疑応答も積極的におこなわれ、新しいカテゴリーであるこの分野に対する興味が多くの医療関係者に芽生えていると感じられた。この様に消化器癌の終末期は、通過障害に伴う腸閉塞、出血、腹水貯留、癌性疼痛などが伴いやすいことは周知の事実である。これらの症状を緩和することは患者のQOL向上が得られ、緩和外科Palliative Surgeryという新しい分野の外科の発展が望まれると感じた。

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