Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
ポスターセッション III-F-06〜12
痛み以外の身体症状緩和8
司会・報告 : 日本大学医学部麻酔科非常勤講師  白土 辰子
 緩和困難な身体症状に対する試みについて7演題の発表があった。ポスターの前では定刻前から発表者同士の積極的な討論が行われて,はからずも限られた時間を有効に使用することができた。がん治療に関わる医師がそれぞれの専門性を生かして真剣に取り組無姿勢に、緩和医療に対する関心の高まりを感じた。難治性腹水に対する2題のうち、腹水ろ過濃縮再静注法は終末期にも有用であり、サイトカイン濃縮予防のために確立された手技に加えて1時間放置後に使用する工夫を紹介、腹腔静脈シャント造設術(Denver shunt)は外来通院が可能となった症例も含めて多数例を経験している施設から慎重な適応を警告された。手術適応のない胆道狭窄に対するMetabolic Stentの有用性は高いが高額で、内視鏡が通る時期を逸しないことが重要である。最近増加している皮下埋め込み式中心静脈カテーテル留置は在宅栄養や在宅化学療法に有用であるが厳重な管理と合併症への迅速な対応が要求される。
 すでに欧米で多くの患者に使用されている放射線薬物療法・サマリウム製剤の乳がん骨転移性疼痛に対する治験は、治療翌日に痛みが緩和した例を始め、全例に優れた疼痛緩和効果を認めたと報告された。本剤はストロンチウム製剤に比べて半減期が短いため、繰り返し投与が可能とのこと、しかし日本の患者さんが近い将来に恩恵をこうむる希望は難しいらしい。症状緩和によりクオリティオブライフは確実に向上することは明らかである。乳がん再発後の定期的頭部MRI施行により脳転移早期発見を勧めた報告をはじめ、検査も治療も終末期には身体的な負担をかけずに、かつ高額でないことが望ましく、これからは患者・家族が有用な治療法の正確な情報を得て、自律性をもって適正な方法を選択することができるように、緩和ケア情報が生かされていくことが必要であろう。

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