Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
ポスターセッション III-E-07〜11
痛みの緩和12
司会・報告 : 神奈川県警友会 けいゆう病院  増田 純一
 終末期患者のさまざまな症状の内、痛みの緩和はまず行われるべきもので、そのためにはがん性疼痛管理に対する医療者間の認識が同じ必要がある。神戸大学の太田垣氏は11項目の質問調査を行い、医師の認識が薬剤師、看護師に比べ低いと報告した。どの医療施設でも、認識度の高い少数の医師と、認識度の低い多数の医師という構図が見られるが、前者の割合を高める対策は重要であり、次回の検討結果を待ちたい。抗ウィルス薬のリトナビルはチトクロームP450に対するフェンタニルとの競合的阻害薬である。岩本整形外科の岩本氏は、鎮痛補助薬も抑制や酵素誘導を起こしフェンタニルパッチ使用時の効果が不安定になる可能性を血中濃度測定により発表したが、1例のみの報告であり、今後の検討を要する。転倒転落と麻薬投与との関連について、済生会金沢病院の岡部氏は麻薬の血中濃度を調べた結果、関連性が低いことを発表した。向精神薬内服の有無や、他の因子についてはこれからの検討課題である。済生会中津病院の塚口氏は口腔がん終末期例で痛みの緩和が得られた8例について検討し、機能維持を目標とした侵襲度の少ない治療法の選択、患者、家族、医療スタッフ相互の良好なコミュニケーションに加え、患者の「食」への要求の表出が失われなかったことが寄与していたとして、口腔がんで考慮すべき特徴因子であることを述べた。羽島市民病院の渡辺氏は硫酸モルヒネ等を服用中の46歳男性転移性脊椎腫瘍患者の脊髄圧迫進展に伴う排便障害に、エリスロマイシンが著効を示した症例を発表した。エリスロマイシンはモチリン受容体に直接作用し消化管運動を亢進するとの説明だが、モチリンは小腸通過時間しか短縮しないとのコメントがあった。しかし、コントロール困難な症状に対し同意を得た上で、ある程度の薬理作用の裏づけでのこのような薬剤の使用は症状緩和につながる可能性があり、試みるべきことといえよう。

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