Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
ポスターセッション II-I-08〜10
事例報告4
司会・報告 : 国立がんセンター中央病院  戸谷 美紀
 本セッションでは終末期患者・家族の看護について6つの事例報告があった。筑波大学附属病院の外山氏は、家族が病名告知を望まない終末期患者への関わりを記録から丁寧に抽出し、早期に患者の現状認識と希望を確認した上で、患者・家族・医療者が一致した目標設定をしてケアを行う重要性を述べられた。関東労災病院の中村氏は、家族が病名・病状告知を望まず、医療者と家族の目指す緩和医療に相違があった事例を、家族の予期悲嘆と捉えて援助を行った。患者の現状に関する家族の「否認」と「直面化」の均衡に配慮したケアは非常に参考になった。
 長崎神経医療センターの冨川氏は、臨死期の患者に家族が希望するケアを実施した事例を振り返り、家族にリスクを説明した上で、家族の意向を尊重したケアを行うことで家族の満足感に繋がったと報告した。香川大学医学部附属病院の井出上氏は、患者・家族が在宅死を選択し、24時間で在宅に移行できた事例から、在宅に移行できた要因は患者の意向の尊重、症状の緩和、精密機械使用の指導、かかりつけ医との連携等であった。神奈川県立足柄上病院の佐藤氏は、患者の外泊希望に応えらなかった家族が外泊が可能となった援助として、家族の思いの表出、家族なりのやり方やペースを認めて待つ姿勢であったと報告した。新日鉄八幡記念病院の首藤氏は、患者が精神な支えを求めても拒否的な態度を示す家族に対し、チームカンファレンスを通して看護師が家族の見方をかえ、家族のあるがままを受け入れて、患者・家族の個々の状況や背景を踏まえたケアの重要性を示唆した。
 いずれの事例報告も関わりが難しい終末期患者の家族への援助を丁寧に振り返り、愛する者を失おうとしている家族のあるがままを医療者が受け止めた上で、患者のQOL向上を一緒に考えていくことの重要性を再認識した。フロアは多くの聴衆が集まり質疑応答も活発であった。

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