Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
ポスターセッション II-A-01〜05
緩和医療システム1
司会・報告 : 東京大学大学院医学系研究科  河 正子
 5題の演題中3題(II-A-1, 3, 4)は、緩和ケアを評価するクリニカル オーディット ツールであるSTAS(Support Team Assessment Schedule)に関するものであった。英国で開発されたSTASは、信頼性、妥当性の検討された日本語版(STAS-J)が作成され、ホームページからダウンロード可能である。2004年に発行されたスコアリングマニュアルに基づいて、使い方についてのワーキングショップも開催されている。II-A-1は、その日本語版とは別に、症状部分の評価法を独自にT-STASとして作成し評価を試みた報告と、多施設共同のデータベースとして利用することを呼びかけるものであった。II-A-3は、STAS-Jを一般外科病棟に導入し、その各評価項目について、看護師が自分の気づきや対処を導入前後で自己評価して改善度を検討した結果であった。外科病棟での有用性が報告された。II-A-4は、STAS-Jを緩和ケア病棟に導入して臨床ケアの自己評価を試みた報告であった。トータルペインの視点で評価項目に独自の工夫を加えている点で、STAS-Jとの関係の検討が必要であるとの意見交換があった。これら3演題は、ツールの改良の余地を残しつつも、一定のツールを用いてケアの評価に関わるデータを蓄積していくことの意義を示すものであった。
 II-A-2は、がん疼痛緩和勉強会に参加した一般病棟勤務看護師を対象とした、集学的治療から緩和医療への転換を妨げる要因についての質問紙調査結果であった。要因として「不十分なインフォームド・コンセント」「医師の信念・考え」などの得点が高かったこと、ベテラン看護師や緩和ケアチームの活動が転換を促進すると考えられたことが報告された。 II-A-5は、緩和医療分野では報告が少なく貴重ともいえる造血器悪性腫瘍症例について、緩和医療への移行を障害している因子や適切な移行時期について検討した演題であった。
 以上5演題から、緩和ケアの評価についても、緩和ケア移行のバリアの問題についても、さらなる発展が望まれる重要な研究課題であることを再認識できたセッションであった。

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