Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
ポスターセッション I-E-07〜13
痛み以外の身体症状の緩和2
司会・報告 : 静岡がんセンター緩和医療科 田中桂子
 学会初日の最後のセッション「痛み以外の身体症状の緩和2」(E7〜13)では、「呼吸困難」についての報告がされた。
 (1)札幌南青洲病院からは、気管吸引回数軽減を目的としてブスコパンRを使用した22例のレトロスペクィブ調査により安全性と有効性を示唆する報告がなされ、従来のハイスコRによる有害事象(鎮静・呼吸抑制など)を回避できる可能性について討議された。(2)横浜市立市民病院からは、気道狭窄に対して緊急的に放射線治療が行なわれた14例について報告され、短期大量照射法は適切な時期に行なわれれば症状緩和に有効であることが示唆された。(3)昭和大北部病院からは、呼吸器病棟の非悪性腫瘍患者に対する緩和ケアの現状についての報告があり、非悪性腫瘍患者特有の問題点が提起された。(4)聖路加国際病院からは、疼痛に対してフェンタニルパッチ貼付中に生じた呼吸困難に対してモルヒネを併用した8例についてのレトロスペクィブな報告があり、比較的少量のモルヒネを追加併用することで症状緩和が得られる可能性が示唆された。(5)関西労災病院からは、癌性胸膜炎による拘束性換気障害と考えられる終末期の呼吸困難に対して簡易型マスクBiPAPが有効であった1例報告がされた。(6)帝京大学病院からは、癌性胸膜炎に対する胸腔鏡下温熱化学療法が有効であった5例について報告された。(7)神奈川がんセンターからは、終末期患者に対する輸液量の違いから喘鳴・浮腫への影響を比較するヒストリカルコントロ−ルスタディが報告された。
 いずれの報告も緩和困難な呼吸症状に取り組む現場での様々な苦労と熱意が感じられるもので、多くの参加者による熱心な質疑応答が繰り広げられた。多く議論の的になったのはその治療適応の判断についてであり、今後さらなる検討が待たれる。呼吸困難は評価が困難であり、世界的に見ても症例報告、オープントライアル、レトロスペクティブな報告がほとんどであるが、今後は、こうした現場での「地道な経験の蓄積」や「ひらめき」を育て活かし、適切なデザインによる信頼性の高い研究に発展させていくことが期待される。

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