Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
シンポジウム I-D-07〜13
痛みの緩和4
司会・報告 : 千葉大学医学部附属病院 麻酔・疼痛・緩和医療科  田口奈津子
 当セッションは、がん性疼痛の中でも治療に伴う痛みの緩和に焦点を当てたセッションであった。順不同での紹介となるが化学療法や放射線治療に伴う口腔内の粘膜炎にたいする各施設での工夫を紹介するものが7演題中5題であった。最初に横浜市立大学附属市民総合医療センターの縄田修一らにより、頭頸部癌患者の化学放射線療法による粘膜炎の発生率が100%に近いこと、NSAIDSやオピオイドの経口薬で疼痛コントロールを行っているが、痛みのため経管栄養や静脈栄養に変更されている症例が多いことが報告され、よりよい鎮痛方法の検討が必要であることが再認識された。その治療方法に関しては、神戸市立市民病院の岡田裕らによる2%リドカイングミゼリーの報告、筑波大学附属病院の蝦名精華らによるインドメタシンスプレーの報告があった。いずれも薬剤師による報告であり、製剤作成の具体的な方法など詳細な報告がなされていた。口腔内の痛み治療の目標は経口摂取の継続であり、痛みの緩和と同時に味覚などもなくなってしまうと患者QOLは低下してしまう。このような観点から鎮痛薬を評価することが今後の課題となるであろう。中通総合病院の村上美佳子らにより小児科領域で口内炎痛に対するチームアプローチを行った症例が報告されているが、今後は看護師による口腔内ケア、鎮痛薬の有効な投与、栄養士による食事形態面での工夫など、まさに緩和ケア同様のチームアプローチを導入し、治療を受ける患者のQOL向上を心がける必要があるだろう。最後に口腔内粘膜炎の予防に関して西神戸医療センターの矢部博樹らによりグルタミン投与の症例が報告された。今後さらに症例を増やし、その効果を報告していただきたいと感じている。残る二演題は、いずれも治療に伴うincident pain の対策が報告された。神戸市立中央市民病院の斉藤美智子らによるガーゼ交換時の激痛に対する様々な薬剤の併用使用、さらに市立豊中病院の狭間礼子らにより、痛みのために仰臥位となれなかった症例に対する放射線治療時の対応が報告されている。タイムリーにかつ副作用を最小限にし、強力に鎮痛をはかる必要があり、専門家の手腕が試される症例である。現在は、ケースバイケースの対応であるが、今後に役立てるためにも何症例かをまとめ、その対応策などを一般化した報告が期待される。いずれの報告も各施設の積極的な症状緩和に対する姿勢がみられ、これらの活動の拡大を願いながらセッションは終了した。

Close