Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
一般演題(口演)5
家族・遺族ケア
司会・報告 : 福井県済生会病院ホスピス 谷 一彦
 このセッションでは家族・遺族ケアについての研究と取り組みが報告された。
 05-1は「死について語り合うこと」が悲嘆過程に影響を及ぼす可能性についての検討で、話し合いのできた家族は健全な悲嘆過程をたどっていたとの報告であった。一緒に話し合えるかは、本人・家族の受容が良好なことの現れといえる。受容ができているから、死についても避けることなく話をすることができるし、良き悲嘆もできるということを意味しているとも言える。話し合えなかった家族の要因として、受容の問題と家族関係があげられていたが、そうした問題への取り組みをさらに期待したい。
 05-2は終末期にあるがん患者と家族へのライフレヴュー支援に関する研究。ライフレヴューの効果を家族ケアの視点からもとらえた興味深い研究で、まだ症例が少なく限定的な結果であったが、家族の凝集性が高まることが報告された。ここでも家族関係の問題があげられ、そうした点についての更なる検討が期待される。
 05-3は緩和ケア病棟での死別家族の悲嘆、特に社会的支援を含めた諸因子が抑うつと外傷後ストレス症状に及ぼす影響についての研究。遺族に対する質問紙調査により、うつ(SDS)と、PTSDの診断基準を満たすものではないが、侵入症状や回避症状など(IES-R)と社会的要因の相関を調査した大変意味のある研究であった。海外の報告でも、死別後の病的悲嘆の危険因子として孤立、経済事情などの社会的要因があげられており、今後のさらなる研究が期待される。
 05-4は家族ケアにおける看取り後の「湯灌」の役割についての報告で、病棟で湯灌まで行う取り組みと、多くの家族が同意されていることが注目された。湯灌という儀式が家族の死の受容の助けになることと、スタッフの仕事量の軽減にもつながることが報告されたが、業者任せになってしまう問題があげられ、湯灌を病院で行うことの意義についてもう少し検討が必要と思われた。
 05-5は癒しの場となるエンゼルメイクを目指して〜看護師のスキルアップとコミュニケーション充実の関連性〜との報告で、エンゼルケアが患者を偲べる場となるための看護師のスキルアップの取り組みと、それによるスタッフの自信と意欲の改善が報告された。
 家族・遺族ケアは緩和医療の現場で今後さらに力を入れていくべき分野であり、今回の家族の悲嘆に関する諸研究や、死後のお見送りまでの色々な取り組みがグリーフケアを考える上で参加者のよい参考となったと思われる。

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