Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
一般演題(口演)1
痛みの緩和(評価、治療、副作用)
司会・報告 : 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻
生体管理医学講座麻酔学  有田 英子
 2005年6月30日14:45〜16:10に行われた長時間のセッションであったが、多数の参加者があり、席がなく立っておられる方が非常に多かった。7演題あり、評価に関する演題が4、治療に関する演題が2、副作用に関する演題が1であった。
 治療に関しては、新潟県立がんセンター新潟病院麻酔科の丸山洋一先生が、がん専門診療施設におけるオピオイドの使用状況を報告された。モルヒネ、フェンタニルが主として入院ベースで使用されており、オキシコドンの使用は今後増加の見込みであることが報告された。群馬県立がんセンター緩和ケア支援チームの河野至明先生は、フェンタニルパッチからのオピオイドローテーションについて話された。70%近い患者で増量が間に合わず、モルヒネ皮下投与に変更する実体がわかり、また、モルヒネ経口製剤への変更も安全に可能であることが示された。
 副作用に関して、埼玉県立がんセンター緩和ケア科の金丸圭祐先生が、オピオイド持続投与時の嘔気予防に塩酸ヒドロキシジンとハロペリドールの併用が有用であることを報告された。嘔気は患者にとっては重大な副作用であり、参加者のよい参考になったと思われた。
 評価については4題あった。長崎大学医学部・歯学部附属病院麻酔科・緩和ケアチームの富安志郎先生は、モルヒネ内服時のレスキュー量を1日使用量の1/6を基本に5の倍数で計算し、その有効性と安全性を評価した結果、適当であるとの結論を得られた。北里大学医学部麻酔科Team KANWAの近藤尚子先生は、腎尿路系および骨盤内臓器原発腫瘍においては予後1ヶ月以内の腎機能(Ccr)が著明に減弱し、モルヒネ投与に注意が必要であることを示された。名古屋大学大学院医学系研究科の深谷陽子先生と自衛隊中央病院看護部の菅原恵子氏は、痛みの程度の評価について報告された。深谷先生は簡単な操作で痛みの程度を記憶する新しい痛み計について、また、菅原氏は赤色を加えた疼痛スケールについて発表され、主観的な痛みの程度を評価することの難しさを再認識するとともに、痛みの程度の評価法の改善が期待された。
 以上、いずれの発表も興味深く、質疑応答が活発に行われ、予定時間を超過した。立ち見席の参加者も最後まで熱心に耳を傾けておられ、緩和医療の今後のさらなる発展に思いを馳せた。

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