Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
シンポジウム1
Bad Newsをどう伝えるか?
司会 : 埼玉医科大学 武田文和 国立がんセンター研究所支所  内富 庸介
 がんの診療情報はbad news(悪い知らせ)が多く、それは誰にとっても「いやな知らせ」である。しかし、この真実を患者本人が知ってこそ患者の意思を尊重した医療が実現し、患者本人が自分の生き方を自分で決められることになる。本シンポジウムでは、bad newsを患者の心にどう軟着陸させるかとの視点で4名の演者が討論した。
最初の演者は、長年の患者体験を持つ関原健夫氏である。1984年ニューヨークで肺がんの手術を受け、主治医から「リンパ節転移が多く、5年生存率は20%」と告げられ、「早晩死ぬ」と思い、震えたという。そのうえ86年から90年にかけて国立がんセンターで2回の肝転移と3回の肺転移の切除術を受けた。しかし真摯な態度の主治医から納得のいく形で真実を最初から伝えられ、先人の闘病記や死に様にヒントを求め、がん情報を集め、自分の生き方や治療の限界、万一の場合の覚悟に至った体験をつぶさに話され、人間は厳しい事実を乗り越えて強くなるが、その大前提は正確な情報と患者を最後まで支えるとの医師の姿勢であると結ばれた。
 近藤まゆみ氏(北里大学)は、看護の役割に視点をあて、伝える人と伝えられる人との信頼関係は患者に日々向き合う医療チームの各メンバーの姿勢に左右され、これに伴うストレスはメンバー同士の支えあいで解消していくと述べた。
 内富庸介氏(国立がんセンター)は、bad newsを伝えられているがん患者対象を調査し、患者はbad newsをはっきりと伝えられて理解し、治療や日常生活への影響を医師と話し合うことを強く望み、家族への配慮も求めていたが、余命についての話し合いの意向の有無の事前予測は困難であったと報告した。この調査に基づいて作成した介入プログラムも示した。
 Walter F Baile氏(MD Andersonがんセンター)は、4年間に150名の臨床腫瘍医に行った5日間の教育プログラムの成果を紹介した。このプログラムはbad newsの伝え方、緩和ケアに重点が移る時期や超終末期の諸問題などについてのコミュニケーションスキルなどからなるが、bad newsの伝え方のスキルは教えることができ、学ぶことができると強調した。
(報告:武田文和)

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