Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.29
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2005  29
ランチョンセミナー5
The Latest Phrmacotherapy for Cancer Pain,
癌性疼痛に対する最新の薬物療法
演者 : University of Texas MD Anderson Cancer Center Eduardo Bruera,M.D.
司会・報告 : 金城学院大学学長  柏木 哲夫
 緩和医療は症状のコントロール、精神的ケア、スピリチュアルケアなど広い領域をカバーしているが、症状のコントロール、特に痛みのコントロールは古くて新しい課題である。様々な疼痛コントロール法が導入されているにも関わらず、コントロールが難しい疼痛が存在することは臨床の第一線にいる者はすべて経験していることである。それ故に緩和医療の内外の学会、研究会では疼痛コントロールに関するプログラムが組まれる所以である。
 今回、第10回日本緩和医療学会においても、ランチョンセミナーという形で、Dr.Brueraに癌性疼痛に対する最新の薬物療法についての講演を御願いした。Dr.Brueraはご存じのように、米ヒューストンにあるM.D.Anderson Cancer CenterのPalliative Care部門の責任者である。送られてきた彼の業績リストを見て驚いた。論文343編、国際学会での発表588である。彼の名前は緩和医療関係のジャーナルでよく見かけていたが、これほどの数の論文を書いていたとは驚きであった。
 さて、今回の彼のレクチャーでは癌性疼痛に対する最新の薬物療法がかなり広範に述べられた。その中でも、様々なオピオイドの効果に個人差があることが強調された。さらにオピオイドの副作用に対する新しい薬物療法が紹介された。また、研究の進歩に伴って、opioid rotationがかなり早く行われるようになったことが示された。morphin, oxycodone, fentanyl, methadoneなどが使えるようになりオピオイドの数が増えれば、それだけopioid rotationが容易になる。副作用もオピオイドの種類によって異なるので、工夫すれば副作用少なく鎮痛効果が期待できるようになった。レクチャーでは薬物療法が効きにくいchemical coping(新しい言葉で、アルコール依存症で代表される、ストレスに対処するためにアルコールや薬物に依存すること)やsomatization, deliriumについても述べられた。

Close