Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
海外便り
「第9回欧州緩和ケア学会」に参加して
国立がんセンター中央病院麻酔・緩和ケア科  高橋 秀徳
 このたび、2005年4月7日〜10日にかけて開催された「第9回欧州緩和ケア学会」(9th Congress of European Association for Palliative Care:通称EAPC)に参加・発表しましたので、本紙面をお借りして簡単ながら報告します。
  EAPCは、会員数5万人(40カ国)という世界最大の緩和ケア関連の学会です。今回の会場はドイツの都市アーヘンという、オランダ・ベルギーに隣接したヨーロッパのほぼ中央に位置する温泉町でした。ドイツの国内緩和ケア学会に引き続いて行われ、総勢約2500名の参加がありました。本大会のテーマである「Beyond the Border」は、「国家地理的な境界を越えた緩和ケア」という意味のほか、緩和ケアががん患者のみを対象とすることの境界、終末期という境界、また世界的な高齢化に対する年齢的な境界、さらには政治経済的な境界…といったさまざまな境界を越えた緩和ケアへ、という意味を込められたものでした。そして、これらについてのプレナリーレクチャーが計9つ設けられていました。
  本学会はRobert Twycross先生の講演「Death without suffering?」によって幕を開けました。ともすれば単なる症状緩和医になりがちな日常の中で、「What causes you the most suffering?」―何があなたを一番苦しめているのか?―と問う視点の大切さ、すなわち患者の苦しみに医療者が心を寄せ、癒すために力を尽くす緩和ケアの原点を説く先生の姿に大きな感銘を受けました。
  その後、シンポジウムやワークショップが8会場同時に進行し、会場選びに難渋しました。結果的には疼痛、呼吸困難、スピリチュアルケア、緩和ケア教育などのセッションに参加しましたが、いずれにも共通して言えることは、欧州といえども緩和ケアの状況は各国でそれぞれ異なっているということでした。そういった差は日本国内の施設間においても感じますが、さらなる緩和ケアの発展のためには国内外の「共通の基盤」、すなわち国際的なスタンダードといえる緩和ケアを、研究と教育を軸にしてしっかりと確立していくことが重要であると強く感じました。
  ポスター発表は2日間で計410ありました。このうち日本からの発表は私を含めて3点でした。発表の内容とは全く関係ないのですが個人的に気になった点として、日本以外のほとんどの国の発表者が、A0サイズの巨大用紙を用いた一枚型ポスターを採用していたことがあります。わが国の発表が従来のスライド形式で一枚一枚印刷したものを貼っていたのに対して、一枚型ポスターの栄えの良さやレイアウトの技巧に感動してしまいました。A0ポスターは作成に多少時間とお金がかかり、日本国内の学会ではまだあまり普及していないようですが、次回はぜひ挑んでみたいと思います。
  この学会は2年に1回の頻度で行われており、学会期間中にはディナーパーティーや教会を貸しきってのコンサートなど、研究者同士の交流を深めるための様々なソーシャルイベントも催されます。
 次回の2007年はハンガリーのブダペストにて行われる予定です。また、端境期となる来年度(2006年)は緩和ケア分野の研究面を中心に扱う「4th Research Forum of EAPC」がイタリアのベニスにて開催されることになっています。詳細は本学会のホームページ(http://www.eapcnet.org/)をご参照ください。
 どうぞ今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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