Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
Journal Club
肺がん患者のQOLや安寧を改善する非侵襲的介入(コクランレビュー)
名古屋市立大学看護学部  樅野 香苗
Sola I, Thompson E, Subirana M, Lopez C, Pascual A.:Non-invasive interventions for improving well-being and quality of life in patients with lung cancer.
The Cochrane Database of Systematic Reviews 2004, Issue 4. Art. No.:
CD004282.pub2.DOI:10.002/14651858.CD004282.pub2.

【背景】肺がんは世界的にみて、がん死亡の主要な要因のひとつである。肺がん患者は、診断が確定した時点で、約55%に遠隔転移があり、25%にリンパ節転移がある。治癒の対象とならない患者の平均余命は約8ヶ月であり、その間、侵襲的な治療やその副作用、疾患の進行に伴う症状によって、身体的、心理的、情緒的健康に有害な影響を受ける。このような症状の改善を目的とした非侵襲的な介入は、症状の心理面と身体面を区別することなく統合的にアプローチを行う。しかしながら、肺がん患者への最適な介入に関するエビデンスは明らかではない。
【目的】肺がん患者の症状、心理、QOLを改善するための非侵襲的介入の有効性を検討することである。
【方法】文献検索に用いたデータベース:The Coc-hrane Central Register of Controlled Trials(The Cochra-ne Library 2003年第4号),MEDLINE(1966-2003年3月),EMBASE(1974-2003年3月),CINAHL(1982-2002年9月),CancerLit(1975-2002年10月),Psyc-
INFO(1873-2003年3月)。
 文献の選択基準:無作為化比較試験または比較臨床試験であること。対象に他臓器のがんが含まれている場合には、肺がん患者に関するデータが利用可能であること。介入は、専門家によって提供され、穿刺、挿管、切開、内視鏡、薬物療法等を必要としないこと。ハーブ療法は本レビューから除外し、健康補助食品等は経口摂取の場合のみ含めた。
 データ収集と分析:2人の研究者が独立してデータを抽出し、814の抄録をレビューした。全文を入手した66の論文について選択基準に適合しているかを、1人がデータを抽出し、もう1人がそれをチェックした。
【結果】9つの研究が同定され、次の6カテゴリーに分類された:1)呼吸困難を管理するための看護介入(2研究)、2)看護プログラム(3研究)、3)栄養相談(1研究)、4)心理療法的介入(1研究)、5)運動療法(1研究)、6)リフレクソロジー(1研究)。看護介入および看護プログラムは、肺がん患者のアウトカムを改善することを示していたが、5つの研究のうち3つが方法論上十分ではなかった。栄養相談は、経口摂取量の増加を示したが患者のアウトカムを改善しなかった。心理療法的介入は心理的なアウトカムを改善した。運動療法の効果は限定的であり、リフレクソロジーは一時的な効果しか得られなかった。
【結論】肺がん患者に対する非侵襲的な介入の効果は現時点では不十分である。介入の基礎的メカニズムの説明や、研究デザインの洗練、介入に関係する教育や資源等の実施可能性を考慮する必要がある。

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