Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
Journal Club
Validation of the cancer needs questionnaire (CNQ) short-form version in an ambulatory cancer setting
名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学
名古屋市立大学病院こころの医療センター  明智 龍男
Validation of the cancer needs questionnaire (CNQ) short-form version in an ambulatory cancer setting
Cossich T, et al. Quality of Life Research 2004;13:1225-1233

【背景】がんに罹患することおよびがん治療を受けることの双方が、患者の健康やQOLに影響を及ぼすため、がん患者には、身体的、実際的、心理社会的側面を含めた様々なニードが生じる。このニードは、時間とともに変化し、個人によっても異なり得る。がんに罹患することによってもたらされるアウトカムを測定するために汎用される方法としてQOLと患者の満足感があげられるが、これらは実際的な医療サービスのアウトカムとがん罹患および治療過程に関しての患者自身の知覚とを関連づけることができない。それに比して、ニードの評価を行えば、満たされていない患者のニードそのものを直接測定することができることに加え、患者側の援助に対する希望の大きさに関する情報を得ることも可能である。The short-form Cancer Needs Questionnaire (CNQ)は、異なる複数の領域を含めたがん患者のニードを評価するために開発された質問票である。
【目的】CNQの信頼性、妥当性を検討すること。
【対象と方法】対象はECOGのPSが2以下の成人がん患者。対象患者に対して、CNQに加え、QOLの評価としてEORTC QLQ-C30を、抑うつ状態の評価としてBeck Depression Inventory short-form(BDI-SF)を施行した。CNQは、32項目から構成される自己記入式の質問票で、心理的ニード(psychological)、健康情報に対するニード(health information)、身体的および日常生活上のニード(physical and daily living)、患者ケアおよび援助に対するニード(patient care and support)および対人関係におけるコミュニケーションに対するニード(interpersonal communication)という5つの次元のニードを測定可能である。個々の項目に対して、5段階で評価する形式となっており(1=必要なし/あてはまらない、5=援助に対する高い必要性あり)、0から100点としてスコア化され、高得点ほど高いニードが存在することを示している。
 信頼性、妥当性の検討として、以下の統計学的解析を行った。構成概念妥当性の検討として主成分分析を行い、内的整合性の検討としてクロンバックのα係数を算出した。また、CNQとEORTC QLQ-C30、BDI-SFとの相関および患者背景(性、年齢、がんの病期、PS等)との関連を検討した。
【結果】450人が本研究に参加した。主成分分析の結果5因子が抽出され、各々心理的ニード11項目、健康情報に対するニード7項目、身体的および日常生活上のニード6項目、患者ケアおよび援助に対するニード6項目、および対人関係におけるコミュニケーションに対するニード2項目であった。5因子のクロンバックのα係数は0.77-0.94の範囲にあった。心理的ニードは、QLQ-C30におけるemotional functioningや全般的QOLおよびBDI-SF等と中等度の強い関連(相関係数が0.30-0.50)を有し、健康情報に対するニードはQLQ-C30におけるemotional functioningと弱い関連(相関係数が0.30未満)を有していた。身体的および日常生活上のニードは、QLQ-C30におけるphysical functioning、role functioning、痛み等と中等度の有意な関連を有し、全般的QOLおよびBDI-SFと強い関連(相関係数が0.50を越える)を有していた。患者ケアおよび援助に対するニードはQLQ-C30におけるemotional functioningと弱い関連を有しており、対人関係におけるコミュニケーションに対するニードはQLQ-C30におけるemotional functioningおよびとBDI-SFと中等度の関連、QLQ-C30におけるsocial functioningと弱い関連を有していた。患者背景との関連では、心理的ニードは、性別、がんの病期、PS、治療状況等により差異が認められた(女性、進行期のがん、低いPS、治療中でニードが高い)。健康情報に対するニードは年齢で異なっていたものの(若年でニードが高い)、性別や教育経験との関連はみられなかった。身体的および日常生活上のニードは、がんの病期、PSで異なっていた。一方、対人関係におけるコミュニケーションに対するニードと患者背景との間には有意な関連が認められなかった。
【考察】CNQは良好な信頼性および妥当性を有することが示された。

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