Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
Current Insight
ホスピス・緩和ケア病棟に対する遺族の不満足要因:
全国面接調査による探索的検討
大阪大学大学院人間科学研究科  塩崎麻里子
Mariko Shiozaki, Tatsuya Morita, Kei Hirai et al. Why are bereaved family members dissatisfied with specialized inpatient palliative care service? A nationwide qualitative study. Palliative Medicine. 2005; 19: 319-327.

 終末期におけるケアを評価することは、ケアの質の維持、向上のために重要である。また、医療者の視点のみならず、実際に利用する患者や家族の視点が不可欠である。そこで本研究では遺族を対象に、ホスピス・緩和ケア病棟に対する不満足要因を探索することを目的とし、半構造化面接調査を行った。対象は、倫理委員会の承認を得た全国70施設のホスピス・緩和ケアを利用した患者の遺族1225名を対象とした全国質問紙調査において、ケアに対する評価得点が低かった遺族のうち面接調査への同意が得られた22名(60.57±9.60歳:男性10名)であった。面接は、平成15年4月〜8月にかけて、心理学専攻の大学院生5名、看護師1名によって実施された。
 内容分析を行った結果、遺族のホスピス・緩和ケア病棟に対する不満は、27カテゴリーに分類され、さらにそれらは7テーマ(緩和ケアの理念・ケアの質・ケアの質の格差・利便性・緩和ケア病棟の資源・緩和ケアに対する家族の認識・経済的問題)に類型化された。カテゴリーの信頼性の検討は、2人の独立したコーダーによって行われ、不満足カテゴリーの判定一致率は84.0%で、kappa係数は0.63であった。これらの不満の主な要因と考えられるのは、1)希望を維持し続けるためのサポートが感じられないこと、2)死に対する態度など、個別性が尊重されていると感じられないこと、3)患者、家族に対するケアの質が低いと感じられたこと、4)スタッフの配置と設備、5)入院を希望した時にすぐに入院できなかったこと、6)ホスピス・緩和ケア病棟についての情報が少ないこと、7)家族の実質的・経済的負担であった。
 本研究によって、遺族がホスピス・緩和ケア病棟でのケアに対して抱いていた多様な不満足の要因が明らかにされた。これらの結果を活かし、ホスピス・緩和ケア病棟におけるより良いケアの提供を実現することが求められている。

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