Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
Current Insight
抗がん治療の終了と緩和ケアへの移行についてのコミュニケーション
佐久総合病院総合診療科  山本 亮
聖隷三方原病院緩和支持治療科  森田 達也
Communication about the ending of anticancer treatment and transition to palliative care
Annals of Oncology 15:1551-1557,2004

 抗がん治療から緩和治療へ移行することを伝えられた時に家族が感じた苦悩についての遺族調査の結果。我々医療者がどのような点に注意しながら面談コ ミュニケーションを行うのが家族にとって良いかについて示唆を与える研究。
背景:抗がん治療の終了と緩和ケアへの移行についてのコミュニケーションは腫瘍医にとって難しい仕事である。この研究の目的は、家族の報告した感情的な 苦悩の程度と抗がん治療の終了についてのコミュニケーションの際に感じた改善する必要のあるコミュニケーション方法を明らかにすることである。
方法:日本の緩和ケア病棟で亡くなった630名の遺族に対する多施設での質問紙調査。318の回答を解析した(有効回答率62%)。
結果:39%の遺族が抗がん治療終了の話を聞いて「とても苦痛であった」と回答した。19%はコミュニケーション方法について「比較的」または「とて も」改善が必要であると回答した。高度の精神的な苦悩は、より若い患者、家族が女性、医師から患者に対して「これ以上できることは何もない」と話された 経験、あいまいさや幅の呈示なしに予後を話されたことで認められた。コミュニケーション方法で多くの改善が必要とされたことは、患者に対して「これ以上 できることは何もない」と話された経験、治療の具体的なゴールについて説明がないこと、医師が家族の気持ちに配慮しないこと、家族の準備状況に応じて説 明を行わないこと、医師が最先端の治療について十分に知識を持っていないこと、質問できる雰囲気にないことが挙げられた。
結論:抗がん治療終了の話を聞くなかで、比較的多くの家族は高いレベルの精神的苦悩を感じており、そのコミュニケーション方法についても改善の必要があると感じていた。家族の苦悩を緩和する戦略として、(1)医師は「患者に何もすることがない」とは言わずに、具体的なゴールに到達するためにベストをつくすことを保証すること、(2)家族の準備と患者ごとの不確実性に十分に配慮しながら予測される予後についての情報を伝えること、(3)家族の感情に配慮し情緒的なサポートをすること、(4)最先端の治療についての知識を十分に持つこと、(5)家族が質問しやすいようなリラックスできる雰囲気をつくることが挙げられる。

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