Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
Current Insight
気になる言葉遣い
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 先ごろ横浜で開催された第10回日本緩和医療学会・第18回日本緩和医療学会に参加する機会を得た。会場選びに失敗したのではないか、と思うほどの混雑振りで、大盛況であった。このような盛会に導かれた、関係諸氏の御苦労に感謝申し上げたい。
 参加者に比例して、演題数の変化も目を見張るものがあり、垣添忠生大会長がプログラム・講演抄録集で指摘されている通り、まさに急増である。しかも、発表内容としては昨今話題に上ることの多い緩和ケアチームに集中していた感がある。そこで気になったのが、同音異義語の多い日本語の言葉遣いである。
 前述した緩和ケアチームが、複数職種による緩和ケアの支援組織であることを反映してか、緩和ケアチームの性質を述べる際、他職種と多職種という2つの表現が混在しているようである。その数の多さから見て、両者とも誤植とは考え難い。2種類の使われ方がなされていることからみて、どうやらチームの捉え方にも異なる立場があるらしい。
 他職種は、自分以外の職種が存在する、ことを強調する表現であろう。チームにおける自分の地位、独自性に力点を置くもののようであるが、ともすると、チームメンバーが共通基盤を持つこと、そして、単職種では対応しきれない広がりを持つ緩和医療ゆえのチーム形成の必然性、という観点については希薄な印象を抱いた。この文脈で、治療目標は共通でも、達成手段が職種によって異なる、というチームアプローチは実現可能であろうか?
 これに対し、多職種は複数の職種の存在に力点がある。医師団や看護集団などの例に見られるように、単職種でもチーム医療は成り立つが、その対応には限界がある。その裏には、全人的苦痛から対象者を把握しようとする緩和医療に於いて、複数の職種がリレー型のチームを形成してきたという歴史的経緯がある。なるほど、チームメンバーは独自性を持つが相対的に、である。そこに共通言語がなければ、チームワークは成り立たなくなる。
 日本語の常として、同音異義語が多いことは避けがたいであろう。だからこそ、表現方法には留意する必要がある。た職種が誤解されやすいならば、複数職種、と表現して初めて、緩和医療ならではのチーム医療的必然性を表現できるのではないかと思われる。

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