Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
Current Insight
緩和医療における医薬品の適応外使用:学会として取り組みが必要
筑波メディカルセンター病院 緩和医療科  志真 泰夫
 10%リドカインの販売中止をめぐって、昨年末から今年にかけて緩和医療の領域で様々な取り組みや動きがあった。私はここで、それに直接触れるつもりはない。おそらくその具体的な経過や結果は、今後学会理事会、評議員会で報告されるであろう。私がここで学会の課題として提起したいのは、10%リドカイン問題に関連して緩和医療の領域で「適応外使用」として使われている医薬品への今後の対応である。
  昨年10月、酢酸オクトレオチド(サンドスタチン注射液)は「緩和医療における消化管閉塞に伴う症状の緩和」に適応拡大がされた。それに関わった個人的な経験から「適応外使用」されている医薬品が「適応拡大」する為には、いくつかの段階と条件が必要だと思う。第1段階は、適応拡大の必要性と可能性を感じられる臨床研究(症例報告ではなく、オープン試験かランダム化比較試験があれば最もよい)があること、第2段階は、製薬企業が費用対効果の観点から適応拡大の利点を見いだすこと、(医師主導の臨床試験については今後の検討課題)、第3段階は、適応拡大のための臨床試験が適切かつスピーディーに行なわれること(サンドスタチンはそこが大変だった)、第4段階は、「適応拡大」を望む学会はじめ患者会など社会的要請が必要である。社会的要請は「社会的圧力」ということではなく、必要度を判断する材料として必要である。
 そこで、まず、緩和医療学会として取り組む体制(専門委員会やワーキンググループ)を組織する。次に学会評議員の医師、あるいは、緩和ケア病棟、緩和ケアチームの医師を対象に、「適応外使用」となっている医薬品の実態調査が必要であろう。そして、そのなかから「適応拡大」の必要性と緊急性の高いもの、「適応外」で当面やむをえないが何らかの対策が必要なもの、「適応外使用」は好ましくないもの、と分類する。
 いずれにせよ、「適応外使用」を放置して良い時期は過ぎたように思う。

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