Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
ポスターセッション III-D-07〜10
痛みの緩和10
司会・報告 : 昭和大学病院緩和ケアセンター  樋口比登実
 III-D-7〜10は、癌患者の諸症状に対する神経ブロックに関する演題であった。
 7.は膵癌に対するCT下内臓神経ブロックの有用性を外科医の立場から発表された。外科手術が不能になっても自ら薬物療法・神経ブロック療法を施行し、きちんと評価されている事に感心した。私どもがいつも考えている早期ブロックの必要性にも言及された。外科の先生方にもブロックの有用性をご理解頂けるようご尽力を賜りたい。
  8.は持続硬膜外ブロックにおけるカテーテルの位置の確認に関する報告であった。“カテーテルは生き物である”と常々若い先生方に説明しているが、まさにカテ先の微妙な違いで効果が大きく異なってくる事を実証された。感染などの問題があり、硬膜外カテーテル留置には賛否両論があるが、ブロックの基本である事には異論は無いであろう。よりよい鎮痛を得るためには正確な位置にカテーテルを留置するという基本を再確認できた。
  9.は薬物療法に抵抗する癌疼痛に対しコルドトミー、持続くも膜下ブロックが有効であった症例を提示された。麻酔科以外のスタッフにはコルドトミーは聞き慣れない言葉と思うが、症例を的確に選択すれば、素晴らしい効果を得る事ができる方法である。しかし、国内外でもコルドトミーを施行している施設は少ない。これだけいろいろなブロック手技を駆使し治療ができることは羨ましい限りである。今後とも継続・発展させていただきたい。
  10.は直腸膀胱膣瘻の便意による違和感に対し、くも膜下フェノールブロックが非常に有効であった症例報告である。ブロックは疼痛にのみ有効であると思われがちであるが、疼痛以外の症状にも有効である事を示されている。ブロックによる排尿排便機能低下が問題にならない症例ではもっと積極的に適応拡大を考慮すべきと示唆された。
  薬物療法や活動報告などに比すと非常に少ない演題数であったが、ブロックに興味ある方々にご参加いただき活発な討論ができたことを感謝している。ブロックを成功させるには、適応・タイミング・技術・患者スタッフとの信頼関係など種々の要素がある。しかしブロックが非常に有効な治療法であることは周知の事実である。神経ブロックが全ての医療機関で有効利用できる環境(地域連携など)を整備する事が急務であると考えている。

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