Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
ポスターセッション II-J-07〜12
調査・研究4
司会・報告 : 県立広島病院 緩和ケア科  小原 弘之
 当セッションは、がん化学療法の中止基準、緩和ケア病棟の選択、DNAR、代理評価、看護ニーズ、臨床研修などがん患者の診療に携わる医療者が直面しているさまざまな視点からの討論が行われた。
 II-J-7では消化器がん患者を対象にretrospectiveな解析から化学療法中止の判断基準が検討され、PSと化学療法中止後の生存期間が有意に関連し、PS3が客観的な判断基準となりうることが報告された。症状緩和を目的にした化学療法の適応と中止基準が確立することは、今後緩和的化学療法が求められる役割を明確にする上で大変重要と考えられた。
 II-J-8では緩和ケア病棟に入院された患者を対象に緩和ケア病棟の選択に影響を与えた要因を半構造化面接で情報収集して内容分析を行った結果が報告された。症状や不安の増強、根治治療のつらさなどが緩和ケアの選択に影響を与えていたが、症状緩和への期待、家族に気遣いできる場であることなど緩和ケア病棟に高い期待があることも明らかになった。今後この結果を基に緩和ケアの対象患者さんが適切な時期に円滑に緩和ケア病棟に移行できるような支援プログラムが開発されて普及していくことが望まれた。
 II-J-9ではモデル症例を呈示して看護師の「蘇生せず」(DNAR)に関する意識調査の結果が報告された。DNARの意図する内容と生命支持療法を控えることや終末期の看護ケアが混同して認識されている現状が明らかになった。看護師の認識のずれの背景には医師の指示や認識のずれが強く関与している可能性が高く、リバプールパスウェイ等を用いて看護師だけでなく医師にも推奨されているがん終末期ケアを啓蒙し教育していくことが重要と考えられた。
  II-J-10では緩和病棟に入院されたがん患者と家族を対象に自記式質問紙を用いて身体症状、日常生活への影響を評価してその一致度から有効性を検討した結果が報告された。緩和ケア病棟では高齢で全身状態不良の患者が多く、自記式質問紙の実施が困難で、家族の評価からある程度有用な情報は得られるものの正確な評価とは結論づけられず、評価方法や項目の再検討が必要と考えられた。
 II-J-11では災害時に被災地付近の病院でがん看護に携わった看護師を対象に行われたがん患者のケアニーズの結果が報告された。オピオイドの管理の問題や治療機器の故障などでがん診療が停滞し混乱に陥った事実が明らかになった。医療や社会構造の変化に即した看護ケアを準備しておく必要性が議論され、パンフレットの作成やHPを利用した取り組みの一端が紹介された。
 II-J-12では歯科口腔外科領域の臨床研修の取り組みが報告された。病院での研修が緩和医療に求められるチーム医療や嚥下機能維持の重要性を修得する機会になり、歯科医師としての見識を深めることに有益であることが示された。

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