Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
ランチョンセミナー1
Communication Skills in Oncology
Giving Bad News and Supporting the Patient and Family in the Crisis of Cancer
演者 : University of Texas MD Anderson Cancer Center Walter F. Baile, M.D.
司会・報告 : 国立がんセンター研究所支所 精神腫瘍学研究部  内富 庸介
 がん医療に携わる医療者は、非常に多くの局面で患者、家族、医療者間のコミュニケーションの重要性を認識している。また、コミュニケーションは学習可能な技術であるとの報告が多数あり、参加者の中で医学教育に携わる医療者にとっては非常に興味のある話題であったと思われる。そのため、本セミナーは1000人の会場が溢れ、立見が出るほどの盛況振りであった。
 本セミナーは、医療者が患者、家族に悪い知らせを伝える際のコミュニケーションに焦点を当てたものであった。その概略は以下のとおりである。がん医療における悪い知らせとは、がんの診断や再発、治療の不成功などであり、そのような情報を伝えられた際、患者は情報の包括的理解の困難、判断力の低下といった認知面、取り乱す、涙ぐむ、起こるといった感情面、緊張、不眠、食思不振といった身体的な反応を呈する。そのためどのように伝えるかが重要となる。
 コミュニケーションのキーポイントは「5つのE」(Engagement; 関与、Eliciting Concerns; 問題点を引き出す、Emotion; 感情、Education; 教育、Enlisting; 支持)である。
 また、コミュニケーションの主要なプロセスは「SPIKES」(Setting up the interview; インタビューの設定、Perception of the illness; 病気の認識度の確認、Invitation; 知らせを共有したいかどうか確認して、次の悪い知らせを伝える段階に進む、Knowledge-what and how much;悪い知らせを伝える-内容と量、Emotions‐how to address; 感情への対処の仕方、Strategy & Summary; 戦略と要約)という6つのステップである。Dr. Baileは1時間という短い時間の中、非常にわかりやすく講義してくださった。
 今回のセミナーを通して、がん医療を円滑に推進するために、患者、家族、医療者間のコミュニケーションが果たす大きな役割を再認識し、さらに具体的な技術を学習することができ、大変有意義であった。今後、日本サイコオンコロジー学会、日本緩和医療学会だけでなく、多くの学会でコミュニケーション講習会が開催される日が来ることを切望する。

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