Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
レクチャー5
リンパ浮腫
司会・報告 : 淀川キリスト教病院ホスピス  田村 恵子
 進行がん患者では、病態の初期〜終末期まで種々の原因でリンパ浮腫が出現する頻度が高く、その治療は緩和医療における重要な課題として注目されている。
 このレクチャーでは、リンパ浮腫の治療に先駆的に取組んでこられた2名の講師が、『複合的理学療法』のプロセスにそって論じられた。
 まず、小川先生は医学的な立場からリンパ系の解剖・生理にふれ、浮腫の発症原因を説明したうえで、リンパ浮腫発症原因について私見を交えて解説された。病期は4期に分けられ、どの時期であっても正しい治療により症状は改善するが、早期からの治療開始が望ましいことを強調された。主な症状には、(1)むくみ、(2)だるさ・重さ・疲労感、(3)皮膚の乾燥・硬化、(4)繊維化・脂肪増生、(5)皮膚の角化・象皮症などがあり、診断は問診や視診・触診で大部分は可能である。合併症としては蜂窩識炎、急性皮膚炎、リンパ漏・皮膚潰瘍などがあり、それぞれに応じた治療が必要である。リンパ浮腫の治療としては、圧迫や用手的リンパドレナージを主体とした『複合的理学療法』により良好な治療成績を得ていることが紹介された。
 次に、佐藤先生は理学療法士の立場から、『複合的理学療法』について具体的に解説された。『複合的理学療法』は、ドイツで開発された代表的なリンパ浮腫治療の一つである。この療法は、医師による診察から始まり、「スキンケア」「医療徒手リンパドレナージ」「弾性包帯や弾性圧迫衣による圧迫療法」「排液効果を促す運動療法」の4つの治療法から構成されており、この4つの療法を併用することで大きな効果が生み出される。レクチャーではスライドを用いたスキンケアの実際、動画による医療徒手リンパドレナージの実際が紹介された。最後に、弾性包帯によるバンテージ療法、弾性圧迫衣の選択や注意事項が説明された。
 限られた短い時間であったが、リンパ浮腫の診断と治療に関する正しい知識を得ることができ、リンパ浮腫治療への第一歩となった有意義なレクチャーであった。

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