Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
レクチャー1
家族・遺族ケア
司会・報告 : ピースハウスホスピス教育研究所  松島たつ子
 緩和ケアにおいて患者の療養中から死別後まで家族を支援することの重要性は広く認められているが、その実践においては難しさを実感しているというのが現状ではないだろうか。今回、お二人の講師から家族ケアにおける基本的な姿勢、遺族ケアの考え方とその実際についてお話をうかがうことができ、多くの示唆を得た。
 国立がんセンター中央病院の大松重宏先生は医療連携室/患者・家族相談室で家族と直接面談をしているご経験から、近年の「家族革命」、核家族からさらに単身家族が増えてきている現状を説明され、医療者が従来の家族像をもとに理想的な家族のあり様を期待している問題点、家族も支援を必要とするクライエントであることに気づくことの大切さを指摘された。また、患者の家族という視点ではなく、患者を含めた家族システムの視点からとらえ、それぞれの家族が築いてきた家族の歴史を尊重し、家族自身の自己決定を支援していくことの大切さを強調された。家族としての絆を維持できるようなケアを継続的に提供し、社会のなかで生活する家族を地域との連携のもとに支援していく重要性、そして、介護を終えた死別後の遺族ケアへとつなげていくことの必要性を述べられた。
 関西福祉科学大学の坂口幸弘先生は、死別後の遺族の心身健康状態やわが国における遺族ケアプログラムの実態調査など、遺族ケアに関する研究に早くから取組んでおられ、これまでの研究成果をもとにお話された。死別という大きな喪失体験への有効な対処(コーピング)法として、感情表出、援助希求、再評価をあげられ、「よくお世話されましたね」などと言葉をかけることは、遺族が自身の喪失体験に意味をみつける再評価において役に立つ方法として紹介された。また、わが国の緩和ケア病棟での遺族ケアの現状調査結果では、手紙の送付や追悼会の開催が多く行われているという報告とともに、悲嘆に関する知識や地域のサポートプログラムなどの情報を提供することの意義を強調された。今後の課題として、悲嘆のリスクアセスメントに基づく個別性を尊重したケアの充実、一施設内だけでなく互いに連携・協力しながらケアのネットワーク化を進めること、遺族ケアに関する教育研修の充実、ケアの評価の必要性などをあげられた。

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