Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.28
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2005  28
巻頭言
臨床の現場から緩和医療の在り方を考える
静岡がんセンター 緩和医療科部長、緩和医療学会理事  安達 勇
 緩和医療学会は設立10年目を迎えて、会員数も3,600名を超えるまでに急成長を遂げつつある。パシフィコ横浜で開催された第10回緩和医療学会総会には多職種の方々2,700名が集まり各会場は予想に反して超満員となり熱気あふれる学会となった。緩和医療は今やがん医療におけるチーム医療の根幹をなす医療体系として位置づけられつつある感を深くした。
 緩和医療に日々追われる現場で思うことは、緩和医療は病棟に限定されたものでなく、がん患者・家族の視点からより広い視野をもってがん医療全般に向けて指向していく時期にきていると痛感する。当面いくつかの問題を内包している、1)緩和ケア病棟は急速に増加し144施設となってきているが、全国平均の稼働率は78%に留まり、また在院日数も14から130日と大きな格差があることから適正配分に至っていない。また緩和ケア病棟基準は看取りでの症状緩和に限定することではなく、がん治療の早期の過程における症状緩和にも関与すべきである。2)その点で2002年に緩和ケア診療加算が保険で承認されてから、一般病棟の入院患者にも緩和医療の提供が拡大されたことは大きな進歩である。しかし申請承認施設が35施設に留まり多くのバリアや問題点を抱えていることから再検討が指摘されている。3)またがん医療の継続性からも緩和医療の関わりが求められている。しかし外来診療科として緩和治療を提供している施設は極めて少ない現状にある、今後は人材確保を含めてより積極的な取り組みが望まれる。4)在宅医療も在宅ホスピスに限定されることなく、地域がん中核病院を中心に在宅療養など介護との連携をもって各地域で医療システムを再構築していく方向性が必要である。5)更に地域住民への啓発活動とともに、生死観を含めた死の教育を通して地域文化に根ざした緩和医療の在り方についても追求していくことが求められている。
 以上種々雑感を述べさせていただいた。10年と未熟で多感な年令を迎え急成長している学会である、21世紀のがん医療の中で今後益々重要視され、発展を遂げていくことが期待されるので吾々会員の責務は大きいと考える。

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