Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.27
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2005  27
施設訪問記
光が丘スペルマン病院ホスピス病棟(仙台市宮城野区)
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 冬とは言いながら雪の見えない東仙台駅を下車した。「徒歩10分ぐらいですがタクシーに乗られた方が便利ですよ」とアドバイスを受けていたものの、約束の時間まで少々あり、周辺を散策しながら訪ねることにした。駅からは真直ぐ、中学校を過ぎて国道を渡り、ゆったりとした坂道を昇る。途中カトリックの修道院もあった小高い丘の中腹に、それは建って居た。閑静な住宅街の中にあることは、日常生活から切り離されずにいる、という意味合もあるだろう。事実、このホスピスのモットーは「共に生きる、共に歩む」であった。
 案内は病棟師長がして下さった。2階建てのモダンな建物は、樹の温もりが感じられるのみならず、開口部分が大きく、開放感を与えている。途中に於かれたソファや椅子にも寛ぎを覚えたが、祈りの間や病棟内の美容室にも、ケアのゆとりを読み取ることができる。ここは既存の建物を研究された後が随所に見られた。
 周知のように日本のホスピス緩和ケアのパイオニアは、プロテスタント系キリスト教を背景に持つものが多いが、ここはカトリック仙台教区が母体となっており、少し趣をことにしている。ボランティア活動の盛んであることは共通項目であるがパストラルケア担当のシスターが活躍している。設立の経緯には、市民グループ「ホスピスの設置を願う会」の働きかけがあり、150床程の内科系病院にホスピスが開設されたことがあげられている。また、ホスピス運営のソフトウェアでは遺族会の活動に充実したものを感じた。
 ホスピス病棟の病床数20に対し、職員配置は専任医師1名、看護師14名、看護助手1名、ソーシャルワーカー1名、パストラルワーカー2名であり、ボランティアは70名である。これらの情報は、かなり充実したホームページで事前に入手したものの確認になってしまう。しかし、実際に訪問してみての印象は、事前のものとは異なっていた。
 現代的な病院建築の常識では、平面構造が第一であるように言われるが、この病棟は立体構造を活かしている。地階には霊安に利用出来る部屋を持ち、生活空間との分離が図られている。逆に、屋上からは仙台市や太平洋を望むことができる。また、植物が置かれて園芸療法への余地を残しており、アウトドア利用としての工夫はエレベータから段差なく屋上フロアに出られることからも分かる。広々とした2階のデイルームにはバーがあり、春には病院の庭の桜が美しいと聞かされ、春に再訪したい気持ちになった。
 短い訪問時間であったにもかかわらず、御挨拶下さいました志村院長、案内役の渡辺師長、後のホスピスセミナーでお目にかかれた専任医師の亀岡先生にはホスピスにおけるリハビリの重要性を御指摘下さいましたが、病棟スタッフの皆々様に感謝致します。

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