Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.27
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2005  27
Journal Club
終末期癌患者に対する苦痛緩和のための鎮静に伴う家族の体験
聖隷三方原病院ホスピス  宍戸 英樹
同 緩和支持治療科  森田 達也
Family Experience with Palliative Sedation Therapy for Terminally Ill Cancer Patients
Morita T, Ikenaga M, Adachi I, et al. Japan Pain, Rehabilitation, Palliative Medicine, and Psycho-Oncology (J-PRPP) Study Group
Journal of Pain and Symptom Management 2004 ; 28 : 557-565

 苦痛緩和のための鎮静はしばしば終末期癌患者に必要とされ、家族にとって重大な苦痛となりうる。本研究の目的は、苦痛緩和のための鎮静に関して家族がどのような体験をするかを、家族の満足度、苦痛の程度と、それらに関連する要因を明らかにすることである。日本ホスピス緩和ケア病棟連絡会議の会員で、350床以上の病院に併設された15床以上を有する7ヶ所の緩和ケア病棟において鎮静を受けた癌患者の遺族280名を対象とした、多施設における質問紙による調査が行われた。家族の満足(非常に不満足〜完全に満足の8段階)や苦痛の程度(全くない〜非常に強いの5段階)、鎮静の開始時期、家族の体験、意思決定過程、鎮静についての不安などを質問した。回答が得られた185名を解析した(回答率73%)。患者の69%が鎮静前に、「かなり」あるいは「非常に強い」苦痛を感じていた。患者の55%は鎮静の希望をはっきりと表示しており、家族の89%は医師または看護師からきちんと説明を受けていた。全体として、25%の家族が苦痛を体験していたが、78%が治療に満足していた。家族の満足度を低くする独立因子として、鎮静後の不十分な症状緩和、不十分な情報提供、鎮静が患者の命を縮めてしまうかもしれないという不安、症状緩和を達成する方法が他にもあったのではとの思い、が挙げられた。家族の苦痛を強める独立因子として、鎮静後の不十分な症状緩和、鎮静を決定する責任を負わされているという思い、患者の容態の変化に準備ができていない思い、医師や看護師の共感が十分でなかったという思い、患者の死までの期間が短かったこと、が挙げられた。
[結論] 苦痛緩和のための鎮静は、患者と家族の同意に基づいて強い苦悩から解放するために行われており、家族の大多数は満足していた。医師および看護師は、(1)患者の苦痛を定期的にモニタリングし、タイムリーに鎮静のプロトコールの修正を行い、(2)十分な情報(特に他の手段と生命予後への影響について)を提供し、(3)鎮静の決定の責任を共有し、(4)悲嘆の表出を促進し、(5)感情面での援助を行うことで、家族の苦痛を最小化すべきである。

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