Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.27
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2005  27
Journal Club
Existential Plight of Adult Daughters Following
Their Mother's Breast Cancer Diagnosis
乳癌患者を母に持つ成人女性の、現存の/存在に関する窮状
名古屋市立大学看護学部  石黒千映子
Raveis, V. A., Pretter, S. : Existential Plight of Adult Daughters Following Their Mother's Breast Cancer Diagnosis. Psycho-oncology, 14(1), 49-60 (2005).

 今まであまり調査されていない、成人女性が母親の癌の診断後に向き合うことになる困難な状況について理解することを目的に面接調査を行った。面接は1対1で平均53分間行われた。面接者は事前に面接の訓練を受けた2名の医学的な知識のある女性であった。面接では、対象者が主体的かつ自由に、介護を引き受けたときの状況および母親の病気や治療に対する自分の反応や母娘関係の変化などについて詳しく語るよう促された。また、自分の癌の感受性と癌のリスクファクターについても聞かれた。録音された面接内容を2人のメンバーがそれぞれに分析した後、議論と検証を重ねてその内容をコード化した。対象者数は50名、平均38.3±9.6歳(21〜60歳)で、70%が大学院以上の学歴があり、74%が働いていた。56%は既婚もしくはパートナーがおり、60%は自分も母親であった。面接は母親が癌の診断を受けてから平均7.5ヵ月後に行われた。面接内容から、対象者に起こる重要な問題と癌の診断の影響は3つに大別された。(1)母親の癌の診断に関する情緒的な反応:母親の癌の診断を知った後、ショック→否認→パニック→恐怖→困惑→悲哀へと感情が変化した。(2)母娘関係の変化:それまで母親に対し強く不屈のイメージを抱いていたが、傷つきやすい/壊れやすいイメージに変わり、自分は母親を失うのではないかと恐れていた。母娘の絆が強くなるとともに母娘の役割は逆転し、娘が母親を守り支える行動が増えた。(3)自分自身の乳癌のリスクに関する懸念:自分が乳癌になるかもしれないという恐れを抱くようになり、家族の病歴を確認するようになった。また、自分の価値観を見直し、自分のこれからの人生における優先順位を考え直していた。医療者は、乳癌の母親を介護している女性たちが、母親の病気によって抱く自分の感情と向き合いながら、母親と同じ病気に罹患する心配を抱えていることを深く理解する必要がある。

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