Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.26
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2005  26
学会印象記
第42回日本癌治療学会
千葉県がんセンター整形外科  安部 能成
 2004年10月27日から29日まで、京都国際会議場において開催された第42回日本癌治療学会に参加する機会を得たので概要を報告させて頂きたい。
 周知のように、緩和医療において多数派を占める疾患は悪性新生物、癌である。癌に関連した学会として、伝統と規模を誇るものは日本癌学会と日本癌治療学会である。前者が、発がんメカニズムなどの基礎研究を中心としてきたのに対し、後者は、現在の癌治療の中心である外科医を中核とした、如何に癌を治療するか、に始まる学会である。
 今回の日本癌治療学会の規模は、3日間の日程で、特別講演、特別企画、会長講演などの他、教育演題6、指定講演8、招請講演27、シンポジウム37、パネルディスカッション15、ワークショップ53、ビデオシンポジウム8、サテライトシンポジウム4、一般演題としてのポスターセッション234というメニューが用意されている。この学会において、緩和医療の観点から注目すべき事項が散見された。
 すでに学会会長の山岸久一先生が開催の言葉で、今回の大会のテーマである「心」に関連した問題として緩和医療に言及されているが、10月26日に開催された理事会及び評議委員会において、仮設置専門科目であった「緩和医療科」が正式に学会の専門科目として設置された。このことは我が国の癌治療において、緩和医療が公式に認められる第一歩を踏み出したことを意味する。癌治療の総本山が、治癒を目指したもののみならず、症状緩和にまで視野を拡大したことになる。
 1万5千人近い会員数を要する本学会において、緩和をキーワードにして、抄録CDを検索すると16件がヒットする。(ちなみに緩和医療では12件)
 プログラム上では、教育講演に1題、招請講演に2題(この他、癌性疼痛2題)、ワークショップ2つ、ポスターセッション1つ、が設定され、この他にもあちらこちらで緩和医療に関連する演題が散見された。このように外科医を中心に展開してきた日本癌治療学会においても、治癒を目指す治療以外に、緩和医療が展開しつつあることが確認された。
 しかし、多職種によるチーム医療が緩和医療の特色であるとされていることから見ると、今回の学会は必ずしも手放しで喜んでいられない側面がある。まず、最大多数の職種である看護からの発言がほとんど見られなかった。確かに、看護学会も多数あり、そちらでの発表も精査する必要があるであろうが、共通言語の構築の観点からすれば寂しさを禁じ得なかった。さらに、ドクター/ナース以外の職種となると、さらに問題である。症状コントロールの先には、リハビリテーション、ソーシャルワーク、カウンセリングといった問題が控えているはずであり、その方面からの発言も期待したい。
 大会の中日の晩に、大会会場の庭園でおこなわれた全員懇親会は舞妓さんの姿も艶やかに、これまでにない雰囲気を醸し出していた。日常の喧噪を忘れさせて頂いた大会関係者の企画力に感謝したい。なお、次回の本学会は名古屋市において2005年10月25日〜27日に開催される予定である。

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