Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.26
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2005  26
Current Insight
外科系学会における緩和医療の取り組みについて
札幌社会保険総合病院外科  中島 信久
はじめに : 外科系の学会における緩和医療の現状について、主要学会誌をもとに調査、検討した。
対象と方法: 最近5年間の日本外科学会、日本消化器外科学会、日本臨床外科学会を始めとした外科系諸学会の雑誌をもとに、学術集会における緩和医療関連の企画セッション(シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップなど)や一般演題の発表内容や演題数、演者の所属などを調査した。また、学会誌における緩和医療関連の学術論文における取り組みついても調査した。
結果 : 企画セッション数は1集会あたり0.6回で、総演題数は、企画セッションが「あり」の場合、平均24演題(9〜49演題)で、「なし」の場合、5演題(0〜15演題)であった。企画セッションのテーマについては、総論的なもののほか、「疼痛コントロール」、「がん告知」、「ステント治療」などが多くを占めるが、「がん患者の心理とケア」など、サイコオンコロジー領域をテーマとし、精神科医や緩和ケア医を演者に迎えて、ディスカッションが行われる場合もあり、対象とするテーマは広がりつつある。また、一般演題の内容については、質の高い治療やケアの実践が汲み取れる内容のものが多いが、その一方で、ガイドラインや通常のコンセンサスから逸脱した疼痛コントロールなど、“オリジナリティー”に富んだ内容のものも散見された。演者の所属は、一般演題では、そのほとんどを外科医が占めたが、企画セッションでは、麻酔科医、緩和ケア医を始めとした非外科系医師が約15%を占めていた。ランチョンセミナーは1集会あたり0.7回開催され、がん疼痛コントロールの基本から概説したものが過半数を占めた。演者の所属は麻酔科、緩和ケア科の順に多く、各領域のエキスパートの生の声を聴く有用な場となっている。学術論文については、各学会誌ともに、緩和医療関連の論文は年間で0〜数件程度であった。また、本年、日本外科学会雑誌に「緩和医療」という特集が3回にわたり掲載された(テーマは、「疼痛コントロール」、「在宅ケア」、「精神症状」)。
まとめ : 学術集会においては、特に企画セッションを設定することが、この領域への関心の高まりにつながるといえ、また学会誌における連載は、緩和医療の基本的な考え方を概説したもので、これまでにも学術誌で取り上げられたことは数回あるが、学会誌という立場で全会員に向けて広く情報提供したことのインパクトは大きいであろう。その一方で、発表演題の中に現時点でのスタンダードから乖離したものが、少数だが見られたことが若干気懸かりであった。「ガイドライン」の十分な普及など、本学会からの更なる情報発信や、双方向性の議論の場の提供が、一般病院の現場における、より質の高い緩和医療の実践につながるといえよう。

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