Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

ポスターセッション
疼痛・QOL評価1
司会・報告 : 愛知県がんセンター 緩和ケア部  篠田 雅幸
 このセッションは患者のQOLの評価とケア自体の評価に関する演題が中心であった。演題P2-80で東海大学の奥山氏は、がん患者の症状評価法として米国で開発されたM.D.Anderson Symptom Inventory (MDASI)の日本語版の信頼性と妥当性を検討し、日米での比較によりMDASIが分化・宗教などの枠を超えた症状評価法となりうることを示した。国際的な研究での使用可能性が示唆されたという点で興味深い演題であった。演題P2-81の発表で北里大学の青山氏は、リンパ浮腫に対する独自のアセスメントシート作成とその臨床応用上の問題点について報告した。まだ開発途上の感があったが、リンパ浮腫はがん治療における切実な問題なので、多施設で使用できるシートに発展することを期待したい。演題P2-82で大阪大学の平井氏は、ホスピス緩和ケア病棟におけるケアの質を評価するための尺度を開発。その信頼性について検討した結果、尺度の構造妥当性と内的一貫性が確認されたと報告した。ホスピス緩和ケア病棟の増加にともない、新たにケアの施設間差が問題となりつつある。施設による較差がない安定したケアを提供するためには客観的にケアの質を評価するこの種の研究はますます重要となるであろう。先見性を高く評価したい。演題P2-83で久留米大学の成清氏は、緩和ケア用QOL調査書「ケア・ノート」を用いた調査を行い、ケアにおける患者の主観に基づくQOL評価の重要性を報告した。患者の要求把握はケアの出発点であり、普遍的な調査書の必要性が感じられた。演題P2-83で鳥取大学の大呂氏は、進行・末期がんで療養している患者にとって何が重要な事柄なのかを明らかにする質問表を作成し、それを用いた調査結果を報告した。関心事、価値観の多様性が示され、個人を重視した療養にはより踏み込んだ対患者関係の構築が不可欠と思われた。演題P-90で大阪府済生会中津病院の塚口氏は、癌性疼痛にプラセボが有効な症例のあることを報告した。
 プラセボ効果をもたらす心理的側面からの分析を期待したい。

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