Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

ポスターセッション
鎮静1
司会・報告 : 琉球大学医学部保健学科  砂川 洋子
 本セッションは、5演題がすべて鎮静に関する現状調査ならびに実践に関する報告であった。
 P2-59の渡辺氏の発表は、当該施設呼吸器科における末期患者19例に対するmidazolam投与について検討した内容であった。適応となった症状は、呼吸困難が最も多く、次いで不穏・興奮状態、全身倦怠感などであり、これらの症状緩和には鎮静は有効な方法であるが、その適応や投与量にはさらなる検討が必要であることが報告された。
 P2-60の田嶋氏の発表は、大学病院緩和ケアチームが関わったケースの紹介であった。左上顎癌再発の症例に疼痛緩和と呼吸状態の軽減を目的に行ったハロペリドールとヒドロキシジンの持続点滴が有効であったことが紹介された。状態が悪化するにつれて、気管切開や完全な鎮静を拒否していた妻(家族)に対して、患者本人も含めての鎮静に対する意思決定のための事前説明やその後のサポートなどチームでの取り組みが重要であることが共通認識できた。
 P2-61の白石氏の発表は、ホスピスケアチームでの関わりのなかで、鎮静の必要性が生じた患者に対して「鎮静導入シート」を用いた40例を分析評価した報告であった。調査では約半数に鎮静が実施され、その目的は倦怠感・せん妄が上位を占めており、使用薬剤はミダゾラムが9割と最も多く、実施期間は平均3.3日であった。鎮静導入時に患者の意思を確認できたのは約3割程度であったと紹介し、このことは今後の課題とされた。
 P2-62の新城氏の発表は、緩和ケア病棟における終末期癌患者を対象とした持続的かつ深い鎮静の現状調査の報告であった。過去1年間の入院患者207名のうち持続的かつ深い鎮静が実施された症例数は14%であり、使用薬剤はサイレース、ドルミカムなどの持続静注が4割を占め、適応となった症状は呼吸困難感が約4割を占め最も多かった。鎮静の実施にあたって、患者家族の同意が得られたのは44%であったと紹介し、鎮静を導入する際の医療者のジレンマや困難感が伺えた。
 P2-63の飯田氏の発表は、総合病院緩和ケア病棟における終末期肺癌患者49名の鎮静の現状調査の報告であった。終末期に鎮静を実施した症例は約3割であり、他の癌患者に比べ多いことが示された。鎮静の適応となる症状は呼吸困難が73%と最も多く、薬剤はミダゾラムが全例に使用され、鎮静の状況下で死亡されていることが報告された。
 これら5題のすべての研究発表に関して共通することは、終末期癌患者が呈する呼吸困難や全身倦怠感、せん妄など患者家族にとって耐え難い苦痛症状の緩和のために鎮静が適応となっており、実施にあたって医療者はあくまでも患者家族のQOL向上を目指すことをチームで共通認識し、倫理的配慮が充分になされるなかでのケアサポートが重要と考える。

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