Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

ポスターセッション
リハビリテーション2
司会・報告 : 愛知医科大学リハビリテーション科  木村 伸也
 今回は、医師、看護師、理学療法士、作業療法士など多様な職種から、障害の予防段階(演題「肺癌患者の呼吸リハビリテーション」)から終末期の対応までの幅広いテーマでの報告がされるなどリハビリテーションの演題数が増加したことに驚かされた。脳卒中や脊髄損傷と同様に末期がんなどの終末期患者に対するリハビリテーションの重要性が認知されつつあることを示したものといえよう。しかし発表内容と討論をふりかえると、まだリハビリテーション診断・評価や効果判定に、未熟な点や基本的なとらえ方の誤りがあり、課題も多いと感じられた。特に対象者の問題点をとらえる共通の概念的枠組、「生活機能と障害」の階層的構造に関する認識が欠如している点が大きな問題であろう。その例として、演題「終末期患者がリハビリテーションを導入することで得られる効果」において看護師が患者の歩行や移動能力の改善はすべて筋力改善(筋力測定は行われていなかったにもかかわらず)によるものと誤って判断していた。演題「緩和医療における理学療法の役割について」「ホスピスにおけるリハビリテーションの実施内容」において理学療法が機能障害レベルのアプローチにとどまっていて、立ち上がりなどの訓練が患者の生活機能全般にとってどういう意味があるのかが十分検討されていなかった。先の例については、歩行能力の改善は必ずしも筋力改善だけに帰結するものではないこと、筋力が改善しないあるいは低下しても適切な補助具や環境の調整によって歩行能力は著しく改善するというリハビリテーション分野では一般的となっている「生活機能と障害」の階層的構造の理解にたって分析が行われていれば意義深い研究になったと思われる。演題「我が国における緩和医療の普及と進歩に関する見解−緩和医療におけるリハビリテーションの動向」の討論では、施設基準による制約から緩和ケア病棟でのリハビリテーションの診療点数の請求ができないという制度的問題点と改善の必要性が指摘された。

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