Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

ポスターセッション
精神6
司会・報告 : 埼玉県立がんセンター緩和ケア科  余宮きのみ
 当セッションではがん患者の心理的問題に関する演題が2題、在宅移行に関する演題が1題、病状を伝えることに関する演題が3題発表された。臨床的な話題が多く、活発な質疑応答が交わされた。(1)石巻赤十字病院からは、乳がん再発に伴うストレスコーピングにおいて、初発時と同様の対処をとっている事例と、異なる対処をとっている事例が挙げられた。「初発時とは異なる対処をとっている事例では、がんや死についてオープンに話すことが出来る相手がいた」という結果が印象的であった。(2)国立がんセンターからは、緩和ケア登録患者を対象に、希死念慮の関連要因と経時的変化についての研究結果が報告された。希死念慮は心理的苦痛が関連要因として重要であること、希死念慮の経時的変化は稀ではないことが示唆された。希死念慮と身体的要因に関連性が認められない今回の結果については、対象患者が研究参加が可能な身体状態であり、selection biasが否定できないということであった。(3)日鋼記念病院では、ホスピスに3ヶ月以上入院した患者は9.7%で、そのうちの半数は在宅を希望していながら、ほとんどは在宅移行できなかった。その要因を調査した結果、「本人の不安」、「家族の受け入れ意思なし」などであり、この結果を踏まえた初診時の対応が大切であると考えさせられた。(4)産業医科大学耳鼻科では、がん告知や余命告知に関する患者の意思調査(外来での予診表)を作成、活用した結果、多くの患者が真実を知ることを望んでおり、鎮静を含めた円滑な終末期医療の実践に結びついた。予診表には「家族が反対した場合にも告知を望みますか」といった内容の質問もあり、患者の視点に立つがん治療を行うための有用性が期待される。(5)自治医科大学付属大宮医療センターの心療内科医が、終末期患者へのリエゾン活動により円滑に病状を伝えた結果、患者の精神安定に繋がった事例が報告された。(6)君津中央病院からは、未告知の進行がんにおいて見られた不安、苛立ち、否認、依存など多くの問題が報告された。未だがん告知が行われない病院の課題は大きいと思われた。

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