Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

ポスターセッション
精神4
司会・報告 : 弘前大学医学部保健学科  皆川 智子
 本セッションでは6演題の発表が行われた。P2-30吉崎らは院内の緩和ケア研究会活動の一環として行っている家族面接を取り上げ、心理的葛藤を抱いている家族に感情表出を促し、患者・家族間の感情交流が好転した一事例について報告した。P2-35堀場らは緩和ケアの充実を目的に、ターミナル期にある消化器病棟入院患者の家族28名を対象に面接を行い、家族の戸惑い・不安・希望などの心情を分析・報告した。P2-33林らは一般病棟における初めての試みとして死別家族の集まりを企画し、参加者8名が語った内容から、グリーフケアや遺族ケアのあり方に示唆を得たと報告した。P2-34阿部らは緩和ケア病棟において持続鎮静を行った患者の遺族を対象に質問紙調査を実施し、39名の回答内容から鎮静実施中の不安、悩みなどの家族の思いについて分析・報告した。ターミナル期にある患者にとって家族は重要な援助者であるが、一方で両者間の関係、死別の予期など家族は悩み、葛藤を抱えることが多い。緩和ケアは家族もその対象となることは、ケア提供者には周知のことである。しかしながら、日常の医療現場では、十分に家族ケアが行われているとは言い難い現実がある。さらに死別家族のサポートプログラムは、一般病棟においては皆無に等しい。上記4演題は家族ケアに関わる報告であり、今後さらに充実を期待したい領域である。P2-32南澤らはターミナルケアに関わる看護師の不安、看取り体験の満足等について一般病棟と緩和ケア病棟で比較・検討し報告した。両者間に際だった差がなかった結果について、その要因分析がさらに必要ではないかと考える。P2-31松添らは診断から手術、再発、看取りまでを体験した原発性肺癌患者10名の経過を手術後再発および再発後死亡までの期間、再発巣の治療、治療中止から死亡までの期間について分析・検討した報告であった。結果は死亡から逆算した緩和医療への転換が平均67日、癌治療中止が平均20日であったが、癌治療継続が患者の精神的支えとなっていた一面もあり、癌治療と緩和医療の比重の推移における適切な判断根拠の必要性が示唆されたと考える。
本学会を通し、診断時から終末期に至るまで患者・家族のQOLを重視する緩和医療の概念が着実に根付きつつあることを実感しており、さらなる発展を願って止まない。

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