Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.25
Nov 2004

日本緩和医療学会 ニューズレター第25号

ポスターセッション
精神3
司会・報告 : 東京慈恵会医科大学臨床腫瘍部  井上 大輔
 P2-24の助川明子氏は患者自身がDNR(do not resuscitate)の意思表示をした10例を検討した。患者本人にDNRを確認するのは難しい現状であるが、助川氏は「DNRの確認は,終末期に改まって確認するより,積極的治療中からの医療者と患者との意思疎通が重要で、今後は患者や家族が納得でき、患者の意志の変更が容易に反映できるような、DNRの同意書の作成が必要になる」と述べた。
 P2-25の加藤しのぶ氏の発表では、適応障害に陥った、がん患者へのスタッフの精神的ケアを自省的に報告した。P2-26の景山久美子氏の発表はターミナル期にある患者が残された時間を家族と過ごすことを希望し、家族旅行中にホテルで死亡した症例であるが、患者・家族との強い信頼関係により家族からも感謝された症例である。
 P2-27の石渡鈴子氏の発表はご子息の結婚式に参加したいという、患者と家族の人生最後の希望を叶えた症例で、「感情に流されず、冷静に可否を判断することが重要」と述べた。この症例については、フロアーより「イベントの前はスタッフ・家族が一致団結してサポートするが、大切なのはイベントの終わった後のフォローでは?」との質問があった。これに対し、事後も患者さんと結婚式の写真を見て楽しむなどスタッフ一丸となり継続してケアに当たったとの回答があった。
 P2-28の荒井裕子氏の発表は緩和ケアチームと協力して患者の食事の改善を通じて、料理人としての患者さんの価値観を尊重した症例、P2-29の岡田理津子氏の発表は、在宅希望の患者をスタッフが毎日、自宅に訪問し、夫の介護に協力した症例である。
 本セッションのほとんどの発表では、いずれも患者・家族への熱心なケアで患者のQOLを高めることができた。最近では、緩和ケアチームの活動内容もスタッフサポートから患者・家族の直接ケアに移りつつある。今後、チームが主治医以上にベッドサイドに頻繁に行くために、患者・家族との信頼関係が主治医と逆転せぬよう、スタッフ全員が協調してケアを行っていく配慮が必要になるであろう。

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